シアヌークビルに乱立する新しいカジノが、東南アジアで急増する覚せい剤取引に関わる何百万ドルという資金の洗浄に利用されているという疑惑が浮上する中、麻薬捜査官たちのターゲットになっている。
Nikkei Asian Reviewは、犯罪ネットワークがカンボジアの「抜け穴だらけの」国境を上手くすり抜け、その後シアヌークビルで拡大するカジノなどの事業を通じて巨額の米ドルが洗浄されていると伝えている。
Nikkeiによると、ある国際捜査官は、「シアヌークビルのカジノは捜査の価値がある。というのもその全てに両替所があり、ゲーミングテーブルのすぐ隣には送金サービスがある。全ての客が中国人で、彼らは分厚い100ドル札の束を持ってギャンブルしている」と述べた。
欧米の外交官とされる別の情報提供者によると、「タイとカンボジア、ベトナムとカンボジアの国境経由で現金がいっぱいに詰まったスーツケースが定期的に持ち込まれており、それをドルに両替することは頻繁に行われている。無規制カジノはこの金を洗浄するには理想的な場所だ」という。
Nikkeiは、カンボジア全土、とくにシアヌークビルで新カジノ開発が信じられないスピードで行われていることへの懸念から、国際的なAML(マネーロンダリング防止)監視機関である金融活動作業部会が今年、同国をグレーリストに載せたことを伝えている。
国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、東南アジア全体で234あるカジノのうちの約150がカンボジアに拠点を置いていると予測しており、IAGは今年、カンボジアの経済財政省が2019年の最初の4か月間に新たに13のカジノライセンスを発行し、国全体のライセンス数が163にまで増加したことを伝えた。その半分以上にあたる91がシアヌークビルに位置している。
UNODCは最近、「覚せい剤売買はこの地方で活動する多国籍組織犯罪集団にとって最も大きな利益を生むビジネスだ。違法な手段で手に入れた売上金は様々なチャンネル、特にこの地方で拡大するカジノネットワークを通じて資金洗浄される」と述べた。