Inside Asian GamingがIGTの国際事業部門CEO、ウォルター・ブーニョ氏と対談を行い、同社が進めるアジアへの拡大について話し合った。
ベン・ブラシュク:本日はお越しいただきありがとうございます。2年前、アジアによりフォーカスし、現地市場に向けて特別にデザインされた様々な製品を開発するという計画についてお話いただきました。これまでのところどれくらい進んでいますか?
ウォルター・ブーニョ: 期待していたよりはスローペースですが、勢いは増してきています。アジアを1つの地域にまとめて話をすることはできません。様々な市場があります。フィリピンとシンガポールを考えた場合、かなり成功しており、多くの新製品が好調な売れ行きを見せています。
マカオではまだ勢いを得るための鍵を模索しているところです。いくつか散発的に好調な製品があったり、どちらにしてもまだ売り上げは低い状態です。これまでのところ主にスタンドアローン型ゲームを通じて進歩が見られています。この地域の市場はリンク型製品を好む傾向がありますので、G2Eアジアではリンク型マルチプログレッシブ(LMP)に焦点を当てました。
当社のLMPロードマップは、その進化のプロセスにより発展してきました。そして今、この地域に適合された複数の製品を市場に投入できると感じています。我々はそのような製品を販売し始めていて、それら製品はもちろんこの市場に合うよう調整され、カスタマイズされています。

BB:これまでのマカオの事業者の反応はいかがですか?
WB: 結局は大半の事業者がフロアでの多様性を求めていますので、積極的に意見を伝えてくれます。事業者は1社または2社のみのサプライヤーに依存することを望んでいません。 しかし彼らが業者を入れる時には、上手くいく製品を求めています。つまりは、自分たちにとって上手くいったと言えない時でさえも、フィードバックを集める努力をして次の進化へと役立ててきました。ですので、大変助かります。
BB:どの製品に将来性が見られましたか?
WB: Fury製品シリーズがクリスタルカーブ筐体で非常に成功しており、将来性があることを示し始めています。これまでに発表してきたScarabなどのスタンドアローン型製品の一部も大きな可能性を示しています。G2Eアジアで展示した新製品の中に、第4四半期までにいい感触を得られそうなものが多くあります。例えば「Gold-en Palace」などがそれにあたるのですが、これは当社が初めて北京のスタジオから発表したものになります。
個人的に傑出していると思うリンク型製品の迎財神(Ying Cai Shen)へのフィードバックも年末までに受け取る予定をですが、準備段階のフィードバックは確実に前向きなものになっています。次はそれがフロアにどう活かされるかを見たいと思います。
BB:アジアで最も大きな成長を見せているのはどこですか?
WB: 我々にとってこの1年はフィリピンが非常に大きなマーケットとなっており、製品への非常に強力な支持をいただいたいます。シンガポールにはとても安定した基盤があり、業績は上向いています。そしてマリーナベイ・サンズとリゾート・ワールド・セントーサの両市場でユニット数を増やすという話がでています。これは努力が報われるかもしれないという自信を与えてくれます。どれくらいかはわかりませんが、チャンスはあります。
市場がそれほど拡大していないマカオでは、1つか2つの製品が上手くいったなら少しはチャンスがあるという程度の、低い土台があるといった状況です。
もちろん、ベトナムとカンボジアでの新施設のオープンによって、この2か国も我々にとってはプラスの成長物語となる市場です。

BB:フィリピンまたはシンガポールで成功している製品と、マカオで将来性がある製品の間に相違点は見られますか?
WB: はい。そして当然ですが全ての管轄地域で同じゲームが承認を受けているわけではありません。フィリピンやシンガポールに比べると、マカオでは十分な種類のゲームがありません。
しかし、最近特定のゲームのパフォーマンスをマカオとコタイで比較するという話し合いに参加したんですが、この2つが全く異なることが大変興味深かったです。片方で上手くいくゲームが、他方では上手くいかない。普通はマカオを2つのマーケットとは考えないでしょう。しかし2つは別物です。それは私にとって、開発という観点から非常に多くのインサイトを与えてくれます。なぜなら世界中の市場で当社は非常に発達していますが、マカオではまだまだ子供なのです。
BB:IGTは、各地域にマネージングディレクターを任命するなど広範にわたる社内再構築プロセスを進めてきました。そのような効果が見られていますか?
WB: これまでの動きはとてもプラスに働いており、北京スタジオの開発がその代表例です。直近の組織的な変更の前は、北京は品質保証やソフトウェアの準備に関する仕事の一部を担う補完的な基地であり、独自のゲームを開発することはありませんでした。現在は人材そして能力の両方の面でスタジオに資源を投入したことで、彼らはゲームの構想、開発、制作そして発売までの全てを担うことが出来るようになりました。これはここで働く多くの人にとって18か月足らずで起こった大きな進歩です。
北京で彼らが成し遂げたことを本当に誇りに思います。そのゲ ームの第一弾「Golden Palace」のリリースには時間をかけました。急いでゲームを発表したくなかったのです。それはバージョン5.5にあたり、我々はこれだと思うまで改良し続けたかったのです。品質への投資には意識的な決定をしました。というのもこれだと思うところまできてからこそ、流れが非常に前向きなものになると分かるからです。
ですので、これが組織改造のメリットの1つになります。これはオ ーストラリアのスタジオでも同じで、アメリカから開発やリメイクのコンセプトを得ることに依存していた場所から、今ではオーストラリアからアメリカへとコンテンツやコンセプトを輸出できるまでになりました。
BB:IGTの19年第1四半期の業績は、5%の減収、そして調整後EBITDAは4%の減少となりました。これは為替変動の影響を除いて考えると、1%の減益、調整後EBITDAでは横ばいという結果に相当します。この結果をどう受け止めればいいですか?
WB:為替変動に大きな影響を受けました。ですので当社の業績を理解しようとする際はその変動を除いた実質ベースに戻す必要があります。恒常為替ベースで言うと当社の収益は前年比では事実上横ばいでした。これは昨年、一定期間内に起こり得るシステム関連製品の売り上げが大きく伸びたことが要因です。
昨年はMGMコタイがビジネスの大きな部分を占め、今年はそれが繰り返されることはありません。しかしゲーミングマシンのユニットセールスの増加を通じてそれを穴埋めしました。ゲーミングマシン側の勢いは、過去18か月間にコンテンツに関して行ってきた大きな投資が好転し始めているということを示す傾向にあります。我々はその結果にかなり満足しています。
システム関連製品の売り上げは、今後も散発的なものになるでしょう。当社には経常的なコアとなるメンテナンス事業がありますが、新規オープンがあればピークとなり、新規オープンがなければ谷間となります。
全体としては、第1四半期はビジネスの成長が続いた時期で、ゲ ーミングサイドの話をすると、勢いを取り戻したということになります。