Inside Asian Gamingは、米国ゲーミング協会のビル・ミラー新社長兼CEOと対談し、業界団体トップとしての野望について話を聞いた。
ビル・ミラー氏は、米国ゲーミング協会(American Gaming Association : AGA)のトップに就任してまだたった数か月かもしれないが、彼の任期中、アジアが主な焦点となることを認識するまでに長い時間はかからなかった。
米国商工会議所の元全米政務局長であり、ワシントンでフォーチュン500に名を連ねるトップ企業の政府ロビイストを務めたミラー氏は、地方および州政府のニーズとともに、業界リーダーたちの独自スキルを利用することに精通している。

最近のマカオ訪問中に行われたInside Asian Gamingとの対談の中で、AGAトップのミラー氏は、アジア進出を拡大させようとする米事業者が直面する問題を考えたとき、キャピトルヒルでのその経験がいかに役に立つかを説明してくれた。
ミラー氏は、「ワシントンD.C.の郊外を代表していた議会メンバ ーの参謀長を務めていました。彼女は共和党員だったのですが、民主党の勢力が非常に強い地区の議員でしたから、多くの場合、問題の解決方法を見つけるために間に立って動かなければならない立場でした」と説明する。
「これはまた、おそらく私にとって7度目のアジア訪問になると思います。シンガポール、中国大陸、そして香港は何度も訪れました。そして最後の訪問では、米企業が中国やその他のアジア諸国に拠点を構え、製造を行い、事業を展開する際に直面する課題や機会を理解することが中心でした。
中国で企業が直面する問題を理解するという点に関しては、常に米企業の利害を代表する誰かの視点で行うというものでした。
私は貿易問題に深く関わっており、返還の前後両方で中国大陸や香港の政府高官と長年にわたって会議を重ねてきました。ですのでこれは驚くほど複雑で、世界の中でも間違いなく驚くほどに活気に満ちた部分だと感じています。具体的に言うと、中国の経済的、政治的、戦略的な役割に関係していたからです。世界のどの場所と比べても、非常に興味深い場所です」
米中貿易の緊張がここ1年間ピークとなっている一方で、2001年の中国の世界貿易機関(WTO)加盟のためのロビー活動を行ったのはミラー氏だった。ミラー氏は1999年から2011年まで米国商工会議所の政務および連邦関係局(Political Affairs & Federation Relations)のシニアバイスプレジデント、そして全米政務局長を務めており、当時の状況について「非常に困難だが重要な戦い」と表現した。

最近では、ミラー氏は国内経済改善のために米政府の政策を分析し、影響を与えることを目的にした組織、ビジネス・ラウンドテ ーブルのシニアバイスプレジデントとしてフォーチュン500企業のCEO204位に選出されていた。
まさにこれが、実際ミラー氏と、日本初のIRライセンス獲得を目指すMGMリゾーツの会長兼CEO、ジム・ムーレン氏やシーザーズ・エンターテインメントの元トップ、ゲイリー・ラブマン氏とがつなが った場所であった。ミラー氏は現在この2社の利害を代表している。
AGAが日本でどの程度関与すると予想しているかと聞かれたミラー氏は、「明らかに日本に強い関心を示す多くの米企業の利害を代表する団体にとって、これが重要な優先事項であることは明白です。日本での機会、つまり米事業者がこのビジネスで競うにあたって、可能な限り最大の機会を確実に得ることは、AGAの代表であるなら誰しもが優先事項として捉えなければなりません」と話す。
MGM、サンズそしてウィンという3社の米国企業を含むコンセッション保有6社全社のマカオのライセンスが、2022年に期限切れを迎える中で、ミラー氏は同様の支援を行う予定をしている。
ミラー氏は「米中間には多くの難しい問題がありますが、企業はこれまで長年にわたってマカオで投資を行ってきました。
それらの企業はマカオ政府と素晴らしいパートナー関係を築いており、その延長上に中国政府がいるわけですから、米中政府からどのような声が投げ掛けられようとも、我々の関心は、両方の側で尊重されているこのパートナーシップにマカオが留まることを確実にすることだと思います。マカオを偉大なサクセスストーリーにさせたものは、米国であれその他の国であれ、事業者とマカオ政府の間のパートナーシップなのだと思います。
ですので、私の見方ではマカオに投資を行ってきた米事業者はこの場所の経済において、非常に重要なプレイヤーであり、それは今後も続いていくはずだと思っています」と語った。
