米カジノ大手のシーザーズ・エンターテインメントが、オーストラリアのゴールドコーストでのカジノ開発競争から撤退していたことを明かした。
News Ltdの報道によると、この決定は何週間も前に行われたもので、今週シーザーズが発表した同業の米カジノ事業者、エルドラド・リゾーツとの173億米ドル(約1兆8,613億円)の合併合意成立のずいぶん前のこととなる。
ここ数か月間は、クイーンズランド州政府が議題にあげている2つ目のカジノライセンスにどの海外事業者が関心を示すかについて憶測が広がっていたが、今週地元紙のGold Coast Bulletinが発表した文書の中で、シーザーズの広報担当者は「数週間前、シーザーズ・エンターテインメントはクイーンズランドでのライセンス獲得を目指さないことに決めた」と述べた。
シーザーズがその決定の理由について詳細を明かしていない一方で、クイーンズランド観光局のダミアン・ウォーカー事務局長は、「政府には『(シーザーズの)この決定は、社内組織の変更の結果であり、投資機会としてのゴールドコースト市場の魅力の問題ではない』と伝えられている」と述べた。
この決定は、シーザーズとの合併合意について議論する投資家報告会の中でエルドラドのトム・リーグCEOが話した内容とも一致している。取引完了時点で新会社を率いることになるリーグ氏は、会社の長期的な世界戦略について、確かな決定はまだ下されていないと述べたが、「世界での機会は、その方向に向かうのであれば巨大で素晴らしいものでなくてはならない」と付け加えた。
ゴールドコーストについては、提案されている2番目のカジノ開発がそもそも前進するのかどうかについてもまだ不透明な状況で、その開発用地も決まっておらず、同地域に別のIRを設けられるほどの規模があるのかという疑問も上がっている。 ザ スター ゴールドコーストを運営するスター・エンターテインメント・グループは、すでにゴールドコースト施設のアップグレードに費やした8.5億豪ドルに加えて、さらに20億豪ドルを投入する「メガマスタープラン」を提案しているが、2つ目のカジノの承認によってその計画に終止符が打たれる可能性もある。マスタープランでは合計4つの新ホテルタワーが、すでに建設が進んでいるドーセットの上に開発される予定となっている。
スター・エンターテインメント・グループは以前、2つ目のカジノにゴーサインが出された場合の政府によるスロットマシンライセンス計画に懸念を示しており、「ゴールドコーストは電子ゲーミング機市場としてはすでに飽和状態にあると考えている」と述べていた。