金融業界のリーダーたちによると、日本のIR産業を管理することになる厳しい規制が、IR開発に必要な資金を確保する事業者の能力に影を落とす脅威となるという。
コンラッド東京で行われている今年のジャパン・ゲーミング・コングレスの初日、財政面の問題が重要な議題として取り上げられ、複数の利害関係者が日本政府のIR整備法施行令の下で現在まとめられている規制の中で業界が成功する能力について懸念を示している。
すでに公表されているルールと規制の中には、カジノフロアの面積をIR施設の最大3%に制限すること、ホテルスペースの下限を100,000㎡とすること、現地住民への入場料を6千円とすること、そして税率を30%とすることなどが含まれている。政府は3年ごとのライセンス更新、そして7年ごとの土地リースの更新を義務付けることも明言している。
デルタ・ステイト・ホールディングスのマネージングパートナー、デービット・ボネット氏は、「日本政府が法案に盛り込む予定をしている内容と、日本のメガバンクがプロジェクト資金融資を引き受けるのに必要とする条件の内容には大きな隔たりがあるために、現地の貸主から従来型の統合型リゾート抵当ローンによる資金を調達するのは難しいだろう。とはいえ、世界的な投資銀行にとっては、世界レベルでシニア債を通じて資金を調達する大きな機会が生み出される。数多くの投資グループにとって重要な機会が存在するが、構造は今日我々が議論しているものとは異なるものである必要がある」と語った。
KPMGジャパンのパートナー、丸田 健太郎氏は、日本政府はほぼ確実に、いずれの事業者による入札にも金融機関からのコミットメントレターを添付することを求めるだろうと述べた。しかしながら、IRの資金調達には通常、高い利率での短期融資が伴うことから、素早いローンの返済能力をめぐる「透明性の欠如 」が障害として残っている。
丸太氏は、「日本のIRの収益性に影響を与える非常に多くの問題がある。建設には高い費用が伴い、相当数の人材資源が必要で、30%の税率は非常に高い。これも投資に影響を与える可能性がある」と述べた。
三井住友銀行で宿泊及びゲーミング部門の執行役員を務めるジョン・コリガン氏は、事業者が資本と負債の比率が半々となることを想定することを期待していると述べ、都市型IRへの総投資額は100億米ドル(約1兆951億円)にまで達すると予想されていると語った。
しかしながら、ボネット氏は、事業者はそのような問題の対処に精通していると述べた。
同氏は、「何か問題があった場合でも、事業者は克服できるだろう。貸主にとっての基本的な懸念は、いつお金をとりもどせるかということだ。今のところ、(新しいIRと土地のライセンスのための)自由裁量の類の承認では、高い透明性が確保されていないために、もちろん銀行はリスクを考える。貸主側がここまでリスク回避の姿勢を見せるのはこの業界では少々珍しいことだ。しかし、それは克服することができる。これは高いリターンを生み出すビジネスであり、事業者が融資を確保できない場合、彼らは株式を取り出す。もし彼らが、『日本での独占ライセンスの株式をお渡しします』と言えば、投資家はすぐにサインをすることだろう」と語った。