投資銀行のモルガンスタンレーのアナリストによると、VIPビジネスがマカオからますます魅力を増す地方の目的地へと流出するという懸念は見当たらないという。モルガンスタンレーは2019年後半にマカオのVIPセクターは回復すると見ている。
周辺のASEAN諸国と関連付けてマカオのゲーミングを調査した報告書の中で、モルガンスタンレーの株式アナリスト、プラビーン・チャードハリ氏はカンボジア、フィリピン、シンガポールそしてオーストラリアなどの地域の施設との関連性が高まっており、その多くがはるかに低いVIPゲーミング税を設定しており、「それによってカジノはジャンケットにより高い手数料を支払うことができる」と指摘している。
近年多くのIRの質も大幅に改善しているという事実と組み合わさって、さらに多くのハイエンドVIP顧客が海外に流出する結果につながっており、カンボジアのナガワールドでは、2015年にはマカオの1.5%であったVIP売上高が、現在は約6.1%にまで上昇している。
しかしチャードハリ氏は、カンボジアとフィリピンがマカオからシェアを奪っているという印象が完全に正しいというわけではないと話す。
同氏は「シンガポール、オーストラリアそしてサイパンを加えると、(マカオ以外の)地域からのVIP収益の割合はマカオのVIP総収益の約30%で比較的安定した状態を保っていることが分かる。従って、マカオで最近起きているVIP収益の成長鈍化を海外への流出が原因だとは言い切れない。それに加えて、フィリピンでのVIPゲーミング粗収益の大半がプロキシーベッティングであり、これはマカオでは許可されておらず、カニバリゼーション(共食い)の結果ではない。我々の結論としては、マカオのVIP収益はアセアン諸国への流出に関わらず弾力性を保ち、2019年後半には回復してくるはずだ」と説明している。
チャードハリ氏は、「中国の流動性の指標のいくつかが最近数か月の間に好転し始めている。これらの指標がだいたい6か月以内にマカオのVIP収益の成長につながるという分析を考えると、VIP回復の結果は19年第3四半期までに目に見えて現れてくるはずだ」と付け加えた。