政府、与党は1日、誘致の動きが進む統合型リゾート施設(IR)でカジノ利用客の課税逃れを防ぐため、訪日外国人客がカジノで得た所得に源泉徴収を導入する方向で調整に入った。共同通信などが報じた。
利用者がカジノで使うチップの購入額や、個々のゲームの勝ち負けを記録するよう事業者に義務付けることも検討。12月中にまとめる2020年度の与党税制改正大綱に方向性を盛り込み、21年度以降の税制改正で実現を目指す。なお、訪日外国人客については出国すると税務調査が困難となることから、源泉徴収を導入することを検討する。
カジノで得た利益は競馬などと同様に課税される。場内でのチップの購入代金と、退場時に換金した払戻金の差額を対象とする。
日本国内では、競馬などの利益に対する課税は「一時所得」扱いとなる。一時所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時的な所得で、労務や役務の対価や資産の譲渡による対価ではないもの。
今回の政府案では毎回のゲームの結果に課税する形ではなく、場内でのチップ購入代金と退場時の換金した差額に課税とされている。しかしこれも従来の一時所得での課税であれば、負けた日の損失は計上されず、勝った日の利益のみ累積して課税される。その結果、年間トータルでマイナスであっても税金が課される可能性も考えられる。