2025年に開催される大阪・関西万博の会場、また大阪府・市が誘致を目指しているIR(カジノを含む統合型リゾート施設)の整備予定地である「夢洲」に新設する夢洲駅(仮)を巡り、松井一郎市長は31日の会見で、駅関連施設を公費で整備する考えを示した。
市は、新設する駅周辺の約3万平米の市有地を市から借りて施設を建設・運営する民間事業者を公募していた。しかし、7月に締め切りを迎えた時点で応募者が居なかったこと受けての決断。
松井市長は「万博に間に合わないということはあってはならないこと。確実に間に合わせる方法として公共事業をやることがふさわしいと判断した」と説明した上で、「(駅周辺の)3万平米の開発を公費でやるわけではない。公費でやるのは駅と階段と会場までのアクセスだけ。3万平米の開発は万博後、民間(事業者)に委ねていきたい」と述べ、工事費用については精査中とした。
公募に応じた民間事業者がいなかった件について、「事業者からすると魅力のある開発にならないのではないか」と記者が投げかけると、松井市長は「それは違う。事業者の皆さんには夢洲の魅力は感じていただいている。というのは、万博だけでなく将来の事も考えて(のこと)」と即座に否定した。
また、事業者が駅周辺地域を開発するのは万博後であることを強調し、「(事業者は)今の時点で将来のリスクを全て判断することが厳しい」と話した。事業者が懸念するリスクについては、「長期の定借となる。返還時に現状復帰することを公募要件にした。だが、高層ビルを建てる時に(地中に)打った杭の撤去は、現状その手段が技術的に確立されてない。それを公募要件に入れたことが事業者の判断を鈍らせたというか、そもそもできない事が公募要件に入ってるじゃないかと。それが事業者が敬遠した一番の理由」と明かした上で、今後再公募する考えを改めて示した。
大阪IRの事業者公募には、米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同グループの1者のみが応募している。同グループは1兆円規模の投資を計画し、最速で2028年の開業を目指している。府・市は応募された内容を審査し今月にも認定、ことし10月から2022年4月までの期限内に国へ申請する予定。