オーストラリアのスター・エンターテインメント・グループ(以下、スター)は、クイーンズランド州最高裁判所から、ギャンブルによる借金返済を拒否したシンガポール人実業家に対して4,300万豪ドル(約36.2億円)の損害賠償請求を行う許可を与えられた。
2018年7月と8月にウォン・ユー・チョイ氏が被った損失に関する豪・最高裁判所の判決は、スターが以前にシンガポールで同氏に対しこの借金回収に失敗した後に出された。この件はシンガポール国際商事裁判所が昨年、同国の民事法では明確に海外の法域で発生したギャンブルによる未払債務の強制執行を認めていないと説明していた。
スターはこの争いを同国に持ち帰らずにはいられなかった。4,320万豪ドル(約36.4億円)に加えて、利息と費用を回収する申し立てを提出した。
ウォン氏は、裁判所の管轄権に異議を唱え、訴訟手続きはプロセスの乱用であると述べて対抗するため、条件付き意思通知書を提出して対応した。しかし、クイーンズランド州最高裁判所のトーマス・ブラッドリー裁判官は先週、スターの訴訟申請を却下または取り消しとした。
ゴールドコースト・ブレテンが報じたように、ブラッドリー裁判官は以下のように述べている。「スターは、小切手法に基づくものも含め損害賠償について比較的わかりやすい主張をしてきた。私は、これまでの流れの継続を許可することが、ウォン氏に深刻且つ不平等な負担や、偏見または損害を被らせたり、自身を守る点で深刻で不当なトラブルや嫌がらせを引き起こしたりすることになるとは思っていない。
それが却下または留保された場合、スターは同氏に対する主張をその本案に基づいて決定することができなくなる。それは不当となるだろう。
この事件は以前、シンガポールの裁判所に提出された最大のカジノ借金訴訟と言われ、2018年にザ・スター・ゴールドコーストのVIPテーブルでウォン氏が負けた金額をめぐる紛争に関連している。
同氏は、カジノ幹部がバカラディーラーによるミスによって起きた2018年7月29日までの負けの責任を同氏が負うことはない、またミスが続いた場合にはその後の負けの責任も負うことはないと約束したと主張していた。8月1日に再度ミスがあった時点で即座にプレイを中断したとも主張していた。
また争点となっているのは、スター・ゴールドコーストのウォン氏への貸付の性質であった。スターによれば、ウォン氏は4,000万豪ドル(約37.7億円)の小切手現金化の融通を要求し、それが認められ、その後さらに1,000万豪ドル(約8.4億円)が追加されたとしている。
同氏はその様な要求はしておらず、代わりに4,000万豪ドル(約37.7億円)の貸付を直接提案されたと述べた。
ウォン氏はオーストラリア到着時、スターに空欄の小切手を手渡し、その後同社が金額を書き入れたが、シンガポールに戻った時点でその小切手をキャンセルしていた。
ゴールドコースト・ブレテンによれば、スターとウォン氏の両方が費用について書面で提出するように命じられており、この事件は今年後半に審理される予定である。