オーストラリアのクラウン・リゾーツがまた別の長い調査を受けることになる。ビクトリア州政府が、同社の旗艦施設であるクラウン・メルボルンがカジノライセンス保有に適格であるかどうかを調査するための王立委員会の設立を発表した。
証人の召喚や公聴会による強制証言など、政府に大きな権限を与える王立委員会は、最近のNSWバーギン調査に対するビクトリア州の対応となる。同調査では、クラウンのガバナンスにおける広範囲にわたる欠陥、特に資金洗浄対策管理に関する欠陥が明らかにされ、その後NSW独立酒類・ゲーミング局が同社はライセンス保有に不適格であるいう判断を下していた。
元連邦裁判所判事のレイモンド・フィンケルシュタイン勅選弁護士が委員長を務める予定の王立委員会は、すでにビクトリア州賭博および酒類規制委員会(VCGLR)がバーギン調査の結果に対応して進めているクラウン・メルボルンの運営の7度目のカジノ調査に代わるものになる。
月曜午後に行われた記者会見で、ビクトリア州酒類・ゲーミング規則担当大臣であるメリッサ・ホーン氏は、政府は、王立委員会が今後における最も適切な手段であると考えていると述べた。
ホーン大臣は、「バーギン調査の後に明らかになった多くの重要問題があった。(バーギンレポートを)1行ずつくまなく読み、(クラウンとの)商業上の契約を理解し、それら深刻な調査結果に対する最も適切な対応とは何かに関して法的なアドバイスを受けた。最も適切な対応、そしてビクトリア州の利益を最大限守ってくれる対応というのが王立委員会だ」と語った。
ホーン大臣によると、王立委員会は通常よりも早く調査結果を出す予定をしており、早ければ8月、遅くとも年末までには結果が出てくることになる。クラウン・メルボルンはその間営業を継続するが、「しかし、その適格性を調査する王立委員会への協力が条件となる。我々は王立委員会と連携して、それら調査結果がどのようなものかを確認する必要がある」と付け加えた。
政府は月曜、バーギンレポートに同様の提言が含まれていたことを受けて、独立したカジノ規制機関の設置に向けた作業を開始したことも明かしており、王立委員会と並行して独立した調査が実施され、必要となる構造上のそしてガバナンス上の制度への助言が行われることになる。
しかしながらホーン大臣は、これは、VCGLRがクラウン・メルボルンでマネー・ローンダリング(資金洗浄)の疑いのある行為を検知するのに失敗し、その義務を怠ったと認めるものだという指摘については否定した。
同氏は、「資金洗浄は全体として、連邦政府の機関であるAUSTRACに付与された権限の範囲となる。VCGLRは、AUSTRACに対して多くの事柄を伝えており、まさにそれらは同連邦政府機関の管轄である」と述べた。
そのすぐ後にクラウンの業務執行役会長、ヘレン・クーナン氏は声明を出し、「クラウンは、最高レベルのガバナンスとコンプライアンスを届けるための当社ビジネスへの改革と変更、そして地域社会の期待に応える組織文化を詳細に伝える機会を提供してくるために、今回のビクトリア政府の発表を歓迎する。
我々は地域社会、政府および規制機関が当社に課している責任を理解しており、ビクトリア州の人々に対しては王立委員会に全面的に協力することを約束する」と述べた。