パチンコ・スロットメーカー大手、(株)ユニバーサルエンターテインメントは17日、同社の創業者で、元取締役会長・岡田和生氏との裁判に関して、岡田氏の控訴が棄却されたと発表した。
ユニバーサルは2017年、東京地裁に岡田氏に対する損害賠償請求訴訟を提起。東京地裁はことし2月、ユニバーサルの請求を全面的に認める判決を下したが、岡田氏はこの判決を不服として控訴した。だが、20年9月16日、東京高裁は「岡田氏の訴えは事実に逆らうことだから承認しがたい」とし、岡田氏の控訴を棄却した。2,130万円の損害の他に、2017年12月29日に遡って年利五分およびあらゆる訴訟費を岡田氏が負担しなければならない。
ユニバーサルは当時、「岡田氏が行なった3件の不正行為に関して、同氏の当社取締役としての任務懈怠により当社が被った損害の一部について、損害賠償請求を行うもの」と述べていた。
ユニバーサルが主張する岡田氏の不正行為は以下の通り
①岡田氏は、2015年2月から3月にかけて、岡田氏及びその親族が持分を保有する Okada Holdings Limitedの第三者に対する貸金債権を回収するため、また、美術品の代金の支払という個人的な用途に充てる資金を得るため、当社元取締役管理本部長の関与の下、TRAをして、当該第三者と密接な関係にある外国法人に対して、無担保、 無利息で1億3500万香港ドル(当時の為替レートで約20億円)の貸付けを行わせた。
②岡田氏は、2015年5月11日、自己の個人的な利益を図る目的で、TRAの経理担当者に指示して、1600万香港ドル(当時の為替レートで約2億円)の小切手を作成させ、これに署名して振り出した。
③岡田氏は、TRA の完全子会社である UE韓国が、韓国のカジノリゾートプロジェクトの土地購入について交渉していたところ、土地購入の事業主体を、UE韓国からOHLの完全子会社である Okada Holdings Korea co., ltdに変更し、その上で、OHL韓国が韓国の土地を購入するための頭金を捻出するために、UE韓国の預金を担保として提供させ、OHLにおいて8000万米国ドルを借り入れた。さらに、その利息及び手数料に相当する17万3562.23米国ドルを実体のない経営コンサルタント料等の名目でOHLからUE韓国に請求し、UE韓国をしてOHLに対し同額を支払わせた。
岡田氏は、別居中の妻である幸子氏と息子の知裕氏が反対派に回った2017年6月の株主投票の後で、ユニバーサルの会長を解任され取締役の座を追われていた。
東京地裁の元の判決についてユニバーサルは、「本判決は、本件不正行為が岡田氏の指示の下に行われたものであることを認定した上で、岡田氏に、当社の取締役としての善管注意義務違反ないし忠実義務違反があったと認めた」と述べた。