ゲンティン・マレーシアとつながりのある米カジノ事業者、エンパイア・リゾーツが、債務返済用資金確保と流動性向上のために4億7,500万米ドル(約509億円)の担保付き上位債を発行する計画を発表した。
ゲンティン・マレーシアとゲンティンのリム・コック・タイ会長の家族信託であるKien Huat Realty III Ltdは、2019年に一連の取引を通じてニューヨークのリゾートワールド・キャットスキルズと繋駕速歩競走施設のモンティセロ・レースウェイを所有・運営するエンパイアを共同で取得した。
現在、エンパイアを所有するのは、Kien Huatが51%、ゲンティン・マレーシアの子会社ゲンティン(USA)が残りの49%を保有する会社。
エンパイア・リゾーツによると、シニア債発行による調達資金は様々な目的に使用される予定で、その中には現在のつなぎ融資の返済、借入返済準備金口座への資金供給そして新型コロナウイルスが世界的に流行する中での流動性の向上などが含まれる。
格付機関は今回のシニア債を、慎重な姿勢で受け止めており、フィッチとS&Pの両方がB+に格付している。
フィッチによると、エンパイアは社債発行後に約1億米ドルの手元資金を手に入れることになり、これは「2020年下半期の弱くもプラスの予想EBITDA創出および最低限のメンテナンス費ニーズという観点からは十分」。
フィッチは、今回の社債発行によってエンパイアがニューヨークのオレンジ郡近郊に計画している2つ目のスロット専門カジノライセンスの資金全額を十分に賄うことができるとも見ている。
同格付機関は、「オレンジ郡プロジェクトが前進し、開発コストが低い方に抑えられると仮定すると、エンパイアは追加資本無しで同プロジェクトの資金を賄うのに十分な現金残高を持つことができるだろう。
我々が予想する新型コロナからの回復の中で、長期的に余剰現金がしっかりと打撃を和らげてくれる一方で、フィッチはエンパイアが事業運営ニーズにより則した、より少ない現金残高を維持すると予想している」と述べた。
フィッチは、ゲンティンがエンパイアの買収後、「ニューヨーク市内または近郊で、そして可能性としては玄関口となる他の主要地域で」全面的なカジノライセンスを得ようとする可能性が高いことを指摘した。