スディール・カレが2020年に最も働きやすい会社だと言われる企業が示す共通の特徴を考察する。
米キャリア情報サイトのGlassdoorが最近、 「従業員が選ぶ2020年版最も働きやすい会社(Best Places to Work 2020:Employees’ Choice)」のランキングを発表した。
上位5社はランキング常連のHubSpot(ハブスポット)、ベイン・アンド・カンパニー、ドキュサイン、IN-N-OUT BURGER(インアンドアウトバーガー)そしてサモンズ・フィナンシャル・グループだった。
ランキングを見て驚いたのは、旅行及びホスピタリティ企業の名前があまりに少ない事だった。ランクインしていたのは、ヒルトン(92位)、スカイウェスト航空(89位)そしてサウスウェスト航空(10位)。当然のことながら、ゲーミング企業は上位100社に1社も入っていなかった。
今から2025年までにASEAN地域には650億米ドルもの投資が行われる予定で、同地域のゲーミング商品は大きく供給量が増加する。この大きなキャパシティの増加にはまた、これら巨大施設を運営するための何千人もの従業員が必要になる。従業員の募集と保持が極めて重要になってくるだろう。近い将来起こる従業員不足に対処するために雇用者側ができることとは?
それを知るために、Glassdoorランキング上位100社の調査の中で従業員が匿名で寄せたレビューを見てみた。調査から分かった上位企業にある5つの共通の特徴が、優れた文化、ワーク・ライフ・バランス、個人の成長と従業員の能力開発へのコミットメント、柔軟な勤務スケジュール、そして協力的な労働環境だった。
「最も働きやすい」会社を作る原料
文化: 組織文化には、ビジネスの社会的および心理的環境を創り出す価値観、信念体系そして行動規準が含まれる。ビジネスが営まれる「オペレーティングシステム」だ。従業員を大事にし、尊重する文化、そして顧客に目を向けた文化を創り出し、維持することは、多くのビジネスにとっての課題だ。
ワーク・ライフ・バランス : 従業員が、1日の大半を仕事関係の活動に費やし、生活におけるその他の重要な部分をおろそかにしているように感じているときに、ストレスや不満というものが生まれる。カジノのような365日24時間営業のビジネスは特に、スタッフにワーク・ライフ・バランスを与えるのが困難だと感じる。しかしながら、充分な数の人員を配置し、気を配った勤務表を作ることによって、自分たちのため、家族のため、そして友人のために時間を使うための充分な時間を与えることは可能だ。
従業員の成長と能力開発: 成長と能力開発は、従業員エンゲ ージメントのための重要な側面だ。見識ある雇用主は、全階層にいる従業員の公式・非公式訓練に充分なリソースが投入されていることを保証する。従業員訓練への投資は、企業が行うことのできる最高の投資の一つだということは実証されている。
柔軟なスケジュール: カジノのような365日24時間営業の職場にはシフト勤務が必要になる。しかしながら、シフト割当が予想できないこと、そして柔軟でないことは、従業員の不満の主な発生源の1つになる。カジノ企業は従業員の賃金を大きな費用項目の1つとして見ており、故に効率的なシフト割当を強調しがちだ。しかし、GAPの店舗などの小売り環境で実施された科学実験は、安定しておりかつ柔軟なスケジュールがある時、労働者の生産性だけでなく売上も増加するということを示している。
協力的な環境:我々は起きている時間の大半を仕事場で過ごす。楽しみや真心のない緊張した職場は、従業員のエンゲージメント、健康そして全体的な幸せに大打撃を与える。従業員が友人だと思える同僚を持つことは、従業員エンゲージメントの主要な目安の一つだ。エンゲージメントが高い従業員は、自分の仕事により満足しており、エンゲージメントが低い従業員と比べて生産性は最大10倍にものぼる。
ゲーミング業界にとっての教訓
あまりに長い間、多くのカジノ事業者が効果的な組織の創造における文化の役割を認識しないできた。迫りくる競争を前に、それを軽視し続けることは、まさしく生き残りというものを危険に晒すことになる。

従業員はあらゆるサービス産業の対外的な顔であり、カジノ産業において深刻なまでに不足する資源である場合も多い。カジノ事業者は、従業員にとって、ワーク・ライフ・バランス、個人の成長のための適切な機会、柔軟な勤務スケジュール、そして働くための協力的な環境があるといった雇用政策を策定したほうがいい。
これによって雇用主の魅力が確保される。それこそが今後5年間動き続けるのに必要不可欠な原料だ。