長崎県佐世保市のリゾート施設「ハウステンボス」へのIR誘致を見据えたセミナーが1日、福岡市のヒルトン福岡シーホークホテルで開かれ、県に長崎IRのコンセプトを提案した国内外3事業者が、それぞれの実績と構想の一部をプレゼンテーションした。
参加した3事業者は香港が拠点のオシドリインターナショナル、オーストリア企業のカジノオーストリアインターナショナル(CAI)、マカオのIRに携わる長崎市のカレント。3者は県のコンセプト募集に応じて運営計画などを提案しており、県と積極的に意見交換している。

長崎新聞によると、このセミナーの中でオシドリはイノベーション(技術革新)とローカライズ(地域調和)を重視すると強調。フランスを中心にカジノを運営する「パルトゥシュ」をパートナーに迎えるとした。
CAIはオーストリア政府が筆頭株主である「国有」をPR。首都・ウィーンと日本の芸術文化を融合した「和洋折衷」を目指し「建築家の隈研吾氏の応援も得られる」と力説した。
県内に事務所を構えるカレントは世界最高峰のエンターテインメントを提供するとアピール。資本提携する海外企業を紹介し「県内の観光地や島々をIR施設と連携させ、世界に発信する」と強みを披露した。

IR汚職事件が問題化する中での開催だったとはいえ、「長崎IR」は強力な合意形成を得ている。北九州市がIR誘致を断念したことで完全な「オール九州」として推進しており、九州の政財界関係者ら300人が出席。中村法道知事はIR誘致は人口減少対策や地域活性化につながるとし「九州にIRという玄関口を設けることで、新たな人の流れを生み出せる」と意気込んだ。
その一方で、IR事業を手掛ける業者を選ぶために、第三者による審査委員会を設置する方針を示唆。セミナーでは経済波及効果の他、ギャンブル依存症対策を考えるパネル討論などもあった。
長崎は負の側面にも目をそらしていない。