世界中にあるカジノは、最前線で働く最も重要なスタッフであるディーラーやクルピエが退屈してフラストレーションを溜めるのを避けたければ、彼らのトレーニングや現場に配置する際に使用するプロセスの変更を検討すべきだ。
今日は、ランドベースカジノで最も象徴的な仕事の1つである、カジノディーラーまたはクルピエの過去、現在そして未来の可能性について話をしようと思う。
世界初のカジノ、カジノ・ディ・ヴェネツィアが1638年に開業したことを考えると、カジノディーラーは約4世紀の間その仕事に精を出してきた。そして当時していた仕事の大部分が今日の仕事とほとんど変わらない。
その期間にビデオゲームやインターネットの出現、そしてデジタルゲーミングの人気拡大など、カジノの建物の外で世界がいかに速いスピードで変化してきたかを考えると、それは色んな意味でロマンチックな考え方ではある。

しかし、1つの大きな問題も引き起こしている。世界中のどのゲ ーミングフロアを歩き回っても、そこに並んだディーラーたちが退屈で死にそうになっていることに気が付く。繰り返し同じ仕事をしたまま何年も経過すると、彼らの学習カーブは平らになり、フラストレーションが溜まり、意欲を失っていく。
この状況は理解できる。ディーラーやクルピエがほぼ間違いなくゲーミングフロアで最も重要な役割を果たしているにもかかわらず、その仕事の性質は、明らかな変化への実質的な選択肢が無いことを意味しており、(特に小さなカジノでは)昇進の可能性も幾分限られている。ゲームが変わることもなく、プレイヤーは、どのカジノに入ろうとも同じように振る舞う。
言い換えれば、カジノの問題ではなく、同じルーティン、繰り返し、目新しいもののないその仕事自体が問題なのだ。
皮肉にも、多くのディーラーやクルピエが絶対的な退屈状態に到達する可能性がある一方で、退職し他の分野で機会を探すことを決意する数は比較的少ない。彼らは、その仕事が一定の快適さ( 給料、エアコンなど)を与えてくれ、不測の事態がおきにくいという理由で、仕事に留まる方を選ぶのだ。
また、ディーラーやクルピエが60分間フロアに立ち、20分間休憩するという一般的な職場慣習に関するというセオリーは迷信だということも言っておかなければならない。ビジネスの視点からそのシステムの利点をサポートする確かな科学的研究は一つもないにも関わらず、それが世界中のテーブルゲームスタッフの間で絶対的な働き方であり続けている。事実、自由時間が増えるほど、彼らはやる気を失っていく。
ディーラーやクルピエの職業のために2つの基本的な将来のオプションを考えてみた。それは、カジノ側が彼らの業務システムを徹底的に変化させるか、またはテーブルゲームスタッフの継続的なトレーニングと成長に十分な投資を約束するかだ。
後者の考え方は、これらディーラーやクルピエにはるかに広い職場スキルを備えさせることで、彼らはカジノの他のエリアでも働けるようになり、活躍機会を広げ、社内でのライフサイクルを伸ばす可能性がある。\
カジノディーラーである代わりに、彼らは「総合的な顧客サービスのプロ」となる。
もう一つのオプションは「Up or Out(昇進か退職か)システム」の採用だ。このモデルでは、ディーラーまたはクルピエのポジションは、定年や年金受給まで働ける仕事としてはオファーされない。代わりに、彼らは数年働いた後、能力や意欲によって「管理職向きの人材」と見られるか、もしそうでなければ退職を勧められる。この方法で、カジノは顧客にフレッシュなスタッフを提供でき、能力と意欲の正しいバランスを取ることができる。
結局のところ、我々全員が、カジノディーラーが持つ最も重要なスキルは、スピード、堂々たる振る舞い、正確かつ素早い計算とい った「技術的なもの」ではなく「プレイヤーに長くプレイしてもらい、繰り返し戻ってきてもらえるようにする能力」だということを理解しなければならない。そのためには、単純すぎるように聞こえるかもしれないが、明るく意欲にあふれたディーラーが必要だ。