アナリストによると、シンガポール国民に対する2つの統合型リゾート入場税の50%の引き上げは、ゲンティンの短期的な収益に打撃を与えることが予想されるという。それには2019年のゲーミング粗収益が15%減少する可能性も含まれている。
今回の予想は、シンガポール政府観光局との合意に達したことで、ゲンティン・シンガポールとラスベガス・サンズがそれぞれのIR施設、リゾート・ワールド・セントーサ(RWS)とマリーナベイ・サンズ(MBS)の拡張にさらに45億米ドル(約5,016億円)ずつ投資を行うという昨日の報道を受けてのものとなる。
両事業者は、容量の拡大と2030年までの独占営業期間の延長を享受することになる一方で、2022年からは3%アップしたゲーミング税を支払わなければならない。さらに重要なことに、入場税が、24時間100シンガポールドルから150シンガポールドル、年間2,000シンガポールドルから3,000シンガポールドルへと即時引き上げが行われている。
アナリストたちは木曜すぐにこの数字を分析し、入場税の引き上げが今後数年間で両事業者への非常に重い負担を証明することになるという共通認識に至った。
ユニオン・ゲーミングのグラント・ゴバートセン氏は、特にRWSを引き合いに出して、「我々は(入場税の引き上げは)見当違いであると考えており、ギャンブル依存症を悪化させる可能性が高くなる。一般的な地元のマスマーケット客にマイナスの影響を与えるのはほぼ確実だ。今後12か月間のRWSのマスでのゲーミング粗収益は15%減少すると予想している。余談として、高額な1日の入場税は他の場所へのLCCの往復料金に換算できる。そのため、入場税の著しい引き上げは地域型カジノ(カンボジア、マカオ、マレーシア、ベトナム)への予期していないギフトとして見ることができる」と述べた。
JPモルガンのDS・キム氏は、ゲンティン・シンガポールの拡張計画には「高額の値札」がついてきたと表現し、「必要のない大規模投資」と「望まれてない当局による変更」という言葉も使用している。
「入場税とゲーミング税の引き上げは損益計算書に打撃を与えるだろう。問題は『それがどれくらいマイナスなのか』ということだけだ。入場税とゲーミング税の上昇は、2019年第2四半期から2022年5月までEBITDAにそれぞれ約4%と6%の影響を与えると予想している。我々はこれを結局はマイナスだと見ている」と付け加えた。
モルガンスタンレーのアナリスト、プラビーン・チャードハリ氏とジェレミー・アン氏は、入場税の引き上げによってシンガポールのIRビジネスの25%を占める地元住民の約10%がギャンブルから距離を置くかその回数を減らすと予想しながら、この新契約での明らかな勝者はシンガポール政府だとした。
しかしながら、MBSには新しいゲーミングスペースに追加するための大きな規模と容量があるために、同社は今後の拡張による莫大な費用とそれに関連する手数料や税の引き上げをより上手く吸収できるだろうというコンセンサスに至っている。この契約の下で、MBSは面積をさらに2,000㎡広げ、新しいゲーミングマシンを1,000台追加する。それに対してRWSではたった500㎡のゲーミングスペースと800台のゲーミング機の追加にとどまる。
モルガンスタンレーは、長期的に見ると、両方の施設の拡張は最終的にRWSがMBSに対してマーケットシェアを失うことにつながると指摘している。