シンガポール政府観光局が、ラスベガス・サンズ(LVS)とゲンティン・シンガポールとの間で合意に達し、両社にはそれぞれの統合型リゾート、マリーナベイ・サンズ(MBS)とリゾート・ワールド・セントーサ(RWS)を大幅に拡張することが許可された。
このニュースは、拡張の機会が不足していたことで近年成長が抑制されていた両社にとって大きなチャンスとなると見られている。
発表の中でLVSは、現地子会社のマリーナベイ・サンズが約45億シンガポールドル(約3,700億円)の投資を行う予定であることを明かし、その新しい開発には「屋上アトラクション」、会議室、ファンクションルーム、展示ホールそして1万5千席以上の最先端ライブエンターテインメントアリーナなどを持ったホテルタワーが含まれる予定。合意には施設が建つ土地の2066年8月21日までのリースが含まれている。
MBSには1,000台のゲーミング機の追加(合計で3,500台)、ホテルタワー1の55階部分全体のカジノフロアへの改装への承認、そして必要であれば2,000㎡のカジノゲーミングエリアの追加購入のための許可が与えられることになる。
その見返りとして、同社は2019年4月10日までに15億シンガポールドル(約1,230億円)をシンガポール政府に支払う必要があり、開発完了の期限は2027年4月2日に設定されている。
ゲンティン・シンガポールは同額となる45億シンガポールドルをRWSに投資することを発表しており、完成目標は2024年。RWSの拡張では、施設の総床面積が50%増加し、レジャーおよびエンターテインメントスペースには164,000㎡が追加される。
その計画の中には、「ミニオンパーク」と「スーパー・ニンテンドー・ワールド」の新設を含むユニバーサル・スタジオ・シンガポールの拡張、「シンガポール海洋水族館(Singapore Oceanarium)」に改名される予定のS.E.A.水族館(S.E.A. Aquarium)の拡張、新しい「ウォーターフロント・ライフスタイル複合施設」の一部として1,100のホテル客室の追加、レストランや小売店舗の増設によるウォーターフロントプロムナードの強化、MICE施設の拡張、そして施設周辺の無人運転交通システムの開発などが含まれている。

シンガポール政府観光局は、少なくとも2032年までは規定の段階的な税率の上に適用することができるカジノ税率の引き上げは行わないことに合意している。また、シンガポール国民に課す入場税を24時間150シンガポール、または12か月3,000シンガポールドル以上に引き上げないことにも合意した。しかしながら注意すべき点は、提案されている一日の入場税上限が現在の100シンガポールドルよりも高くなっていることだ。
新たな合意について説明する中で、LVSのロブ・ゴールドスタイン代表取締役兼最高執行責任者は、「新しい高級ホテル宿泊施設と世界クラスのエンターテインメント施設は、シンガポールへの訪問客、特にマリーナベイ・サンズへの訪問客を増加させるために我々がまさに必要としているきっかけとなる。
シンガポールIRの拡張は、当社の戦略的成長計画の重要な要素であり、シンガポールの好調な観光業とビジネスの可能性を反映するものだ。ホテル客室の追加は、当社のレジャーおよびビジネス客とVIPゲーミングの顧客からの需要に対応するにあたって極めて重要だ」と語った。