マカオ政府が提案しているカジノコンセッション保有者による株主への配当制限の導入は、マカオの法的枠組みの中に類似例がなく、政策目標は法制度の下で利用可能な他の制度によって達成される可能性が高いと、MdME Lawyersが新たに発表した。
物議を醸したこの配当案は、9月14日に政府が発表したマカオのゲーミング法改正案の中でも、特に注目を集めたもの。同改正案は現在、10月29日までの45日間の公開協議期間に入っている。協議文書の内容は、マカオのコンセッション保有者6社の香港上場企業の株価を暴落させるのに十分なもので、わずか24時間で26%、184億米ドル(約2兆500億円)もの下落を記録した。
同法律事務所のルイ・ピント・プロエンサ氏とルイ・フィリペ・オリベイラ氏は、ゲーミング法改正案の詳細を探るシリーズの第1弾として、提案されている配当制限は「マカオの法的枠組みとの調和が難しい」と指摘。水や電気の供給といった重要な公共サービスのコンセッション契約に関連するものであっても、そのような要件が導入されたことはないと述べている。
この提案の目的は、利益をマカオの持続的かつ多様な発展のために活用することであり、正当なものと考えられるが、同法律事務所は「民間投資の大きな阻害要因となり、留保された利益がさらなる投資に使われることは保証されない」としている。
「最終的には、(最近の市場心理に反映されているように)この措置がもたらすビジネスの不確実性は、コンセッション保有者が競争力を維持する能力を低下させ、提案が達成しようとしているのと全く同じ政策目標を達成する能力に影響を与える可能性がある」。
その代わりに、同法律事務所は、マカオ基本法に規定されている自由企業制度の下での株主の基本的権利に影響を与えることなく提案された目標を達成するために、マカオの法的枠組みの中で代替案を見つけることを提案している。
具体的には、コンセッション保有者のライセンス契約に、非ゲーミング活動に対する特定の投資義務や支出目標を盛り込むことで、コンセッション保有者が資源をより適切に配分できるようにすることなどが考えられるという。また、税率の若干の引き上げや、各企業の負債比率や資産比率に関する慎重なルールを課すことも考えられる。
「提案されている施策が、その基本的な政策目標を効率的に達成できるかどうかは疑問である」と同法律事務所。
「また、そのような目標は正当なものであり、マカオの法制度の下で利用可能な他の制度によってより良く達成される可能性があり、株主の正当な配当権を妨げるものではないことも明らかである」。