メルコリゾーツ&エンターテインメントは横浜での統合型リゾートのライセンス取得に向けた活動を中止し、現地事務所の閉鎖を発表。しかし、将来的には他の日本開発の機会も検討していくようである。
8月22日に行われた横浜市長選挙ではIR反対派の山中竹春氏が当選し、林文子氏の3期目の任期が終了したことを受け、同社は今回の撤退を決定。
同社の会長兼CEOであるローレンス・ホー氏は、「パートナーと協力して、横浜のユニークな特性と文化を反映し、観光の世界的な舞台に押し上げるような最上級のIRの提案をこの数年間考えてきた」とコメント。
「我々の提案はアジアのプレミアムセグメント、品質と熟練技術へのこだわり、そしてワールドクラスのエンターテインメントの場を実現するための献身的な取り組みに焦点を当てていた。当社の品質へのこだわりを反映させ、パートナーシップを尊重したアプローチを示し、世界で最も先進的な保護措置を設け、その過程で厳格な倫理的ビジネス行動をとり、このリゾートを設計した」。
「残念ながら、横浜市民の同意は得られず、市長選挙の結果がそのことを明確に物語っている。新市長はIR反対を掲げて立候補し、我々がパートナーと一緒に取り組んできた(横浜IR実現に向けた)プロセスへの扉は公式に閉じられた」。
「残念ではあるが、これまでの過程で築いてきた友情に感謝するとともに、多大なご支援をいただいた横浜市民、自治体、ビジネスパートナー、コミュニティパートナーに心から感謝ししている」。
「当社は10年以上にわたり、日本の地で活動してきた。日本の長期的な可能性を確信しており、日本での世界最高のIR開発に今後も尽力する。東京の事務所は継続していくが、横浜の事務所は閉鎖する」。
同社は横浜から撤退するにあたり、世界的に有名な建築事務所のザハ・ハディド・アーキテクツが作成したIRコンセプトをビジュアル化した動画を公開。ザハ・ハディド氏は、シティ・オブ・ドリームズ・マカオの象徴であるモーフィアスホテルの設計も担当している。

同社は今後も日本での開発の機会を模索する予定だが、IR誘致に名乗りを上げた3地域のうち長崎と和歌山はすでに優先権者を決定しており、現時点では他で機会を見つけるのはますます困難になっている。残りの大阪は、数週間以内にMGMをパートナーとして決定することがほぼ確実だ。

横浜だが、山中氏の任期が終われば後任者次第では将来的に選択肢の一つになる可能性がある。しかし、次の市長選は2025年。より可能性が高いのは東京だ。東京はオリンピックとパラリンピックの終了まで、IR誘致の是非の決断を待っていると多くの業界関係者が信じている。だが、候補地として手を挙げる自治体は事業者を決定し、2022年4月28日までに国に申請書を提出しなければならないため、IR開発の第一ラウンドにはタイミングが問題となるだろう。
同社は2019年9月、日本での取り組みを横浜に集中させる意向を初めて表明し、林前市長が横浜市のIR開発の意向を認めた数週間後に「横浜ファースト」の方針を明らかにしていた。