シンガポールの市場全体のゲーミング粗収益(GGR)は、新型コロナウイルスの感染拡大から完全回復を果たすのが2025年になり、マス部門の需要が旺盛である一方、VIP部門は低迷する見通しだ。
新型コロナウイルスの影響が長引く可能性があることについて、証券会社バーンスタインの6月9日(水)の報告によると、GGRは今年から本格的に回復し出すが、その状態がさらに4年間続き、最終的には2025年までに2019年の94%に達すると予測される。
アナリストのヴィタリー・ウマンスキー氏、ルイ・リー氏、ケルシー・チュー氏は、マリーナベイ・サンズとリゾートワールド・セントーサの2つの統合型リゾートを有するシンガポールでは、2021年のGGRが前年比12%増の12億5,000万シンガポールドル(約1,034億円)、2022年にはさらに50%増の18億シンガポールドル(約1,490億円)になると予想。しかし、2025年のGGRを23億シンガポールドル(約1,900億円)と見積もると、マスおよび非ゲーミング部門が好調であるにもかかわらず、24億6,000万シンガポールドル(約2,040億円)に達した2019年のGGRにはわずかに及ばない。
バーンスタインは、「シンガポール(およびフィーダー市場)における旅行規制の緩和や、新型コロナウイルスによるフィーダー市場(特にマレーシアとインドネシア)への経済的影響については、依然として不確実なままだが、マスのGGRと非ゲーミングは2023年には正常に戻ると予想している」と述べた。
「長期的には、シンガポール市場のGGRが2025年までに2019年の94%程度まで回復し、マスは過去の水準を上回る回復を見せるが、VIPは引き続き低迷すると予測している」。
「リゾートワールド・セントーサとマリーナベイ・サンズの第2フェーズ開発の開始により、2025年以降の拡張に伴い市場が成長すると期待している」。
また、シンガポールの両カジノの21年第1四半期の業績は予想を上回り、マリーナベイ・サンズのスロット事業が地元客の需要により、感染拡大前の状態にまで回復したと報告。しかし、最近の感染者数の増加により、少なくとも6月13日(日)まではゲーミングテーブル1台につきプレイヤーを2人までとするなど、利用者数の制限が再導入されたことから、短期的には不確実なままである。
そういった状況かであってもアナリストらは、シンガポールは海外旅行が徐々に再開されることで恩恵を受け、2022年にはGGRが2019年の約73%に回復すると予想している。