野村グループは、ゲンティン・シンガポールの21年第1四半期の業績が予想より望ましくなかったことと、最近の新型コロナウイルスによる低迷を受け、同社の2021年および2022年のEBITDA予想を15%下方修正した。
今回の予想修正は、リゾートワールド・セントーサの事業者である同社が今月初旬に発表した第1四半期の業績で、2020年12月期と比較して、売上高が12%減の2億7,790万シンガポールドル(約229億円)、利益が74%減の3,450万シンガポールドル(約28億円)になったことを受けてのもの。
これに対し、野村グループのアナリストであるトゥーシャー・モハタ氏とアルパ・アガワル氏は、EBITDAの予想を21年度は15%減の5億3,000万シンガポールドル(約436億円)、22年度は6億8,700万シンガポールドル(約565億円)に下方修正。同様に、純利益の予想も21年度は26%減の2億1,700万シンガポールドル(約178億円)、22年度は22%減の3億3,500万シンガポールドル(約275億円)とした。
両氏は今回の修正について、「季節的な弱さ、政府による賃金補助の先細り、新型コロナウイルスの抑制措置がより厳しい第2段階に引き戻されたこと、さらに最近ではマレーシアなどアジア諸国で同ウイルスの管理が遅れていることを盛り込んでおり、2021年にシンガポールのインバウンド観光が大幅に回復する見通しは暗い」と述べた。
しかし、両氏は、同社が横浜IRの入札を勝ち取る可能性がますます高まっていることを考慮せずとも、同社には長期的な上昇傾向があると考えている。ギャラクシー・エンターテインメント・グループは最近、横浜のレースから撤退し、セガサミー・ホールディングスはマイナー出資に留まるつもりであることを明らかにしたことから、ゲンティン・シンガポールはメルコリゾーツ&エンターテインメントや地元企業のSHOTOKUに対抗することになる。
「横浜市が好んで選ぶ提案と今後の市長選挙で、ゲンティン・シンガポールが最終的に横浜のカジノライセンスを獲得するかどうかが決定するだろう。現段階では、同社が入札することによる付加価値は組み込まれていない」。
しかし、「同社は、そのバランスシートの強さに加え、シンガポールにおける同ウイルスの抑制が比較的良好で、ワクチン接種のペースが速いことから、観光業の回復ストーリーの一つになると考えている」と述べている。