中国は、独自のデジタル人民元の立ち上げが迫るにつれて、暗号資産のマイニングを含む、国際暗号資産への投資と取引を取り締まるための新たな計画を概説した。
中国国営メディアの新華社は、仮想通貨ビジネスにおける金融リスクと投機を未然に防ぐために、北京がすべての仮想通貨に対する監督を強化していると報じた。
中国の国務院金融安定発展委員会(以下、金融委員会)の声明によると、特にビットコインのマイニングと取引に焦点が当られている。
この声明が、香港に上場しているサンシティグループの子会社サン・インターナショナル・グループ・リミテッドを含む影響を受けた企業らの反応を即座に引き出した。そして同社は2月にその業界動向の多様化を図るため1,000セットの暗号資産マイナー(マイニング事業者)を購入することに合意したと発表した。
同社は今週、次のような発表をした。「金融委員会によるビットコインのマイニングと取引行為に関する声明を踏まえると、2021年5月24日、当グループは関連するサービスプロバイダーに対し、双方でさらなる議論のある暗号資産のマイナー運用サービスを一時停止するよう指示をした。
当グループは、中国政府の指示を支持および遵守し、国内での関連するマイニング行為を阻止する。この件について当グループは、関連するサービスプロバイダーと話し合い、他の国または地域では暗号資産のマイニング行為の継続を目的とした必要な措置を講じるつもりだ。」
一時、日本での統合型リゾート開発に関心を示していた中国の宝くじ事業者500.comもビットコインのマイニング機器に投資し、ポンテ16の投資家であるサクセスユニバースも最近、130万米ドル相当(約1.4億円)のビットコインを購入したこと明らかにした。
新華社によると、中国の仮想通貨規制が激化しており、それは中国がビットコイン取引からマイニングへ焦点拡大をしたことに起因している。3つの金融自主規制機関もまた、金融機関と決済会社が暗号資産を支払い通貨として受け入れることを含め、いかなる方法でも顧客に暗号資産サービスを提供することを禁止する共同声明を発表した。
マカオのMdME弁護士の特別検察官兼技術専門家弁護士であるビクトリア・ホワイト氏は、2013年から施行されている暗号資産活動の既存の禁止行為に関して、北京は次の一歩を踏み出しているようだとInside Asian Gamingに語った。
ホワイト氏は以下のように述べた。「最終的に、これらの仮想通貨はPBOC(中国人民銀行)または他の通貨当局によって発行されないため、中国政府は使用すべきではない、または通貨と同じ法的価値を持つ一種の仮想商品と見なしている。
政策上の理由(監視、透明性、管理)により、PBOCは仮想通貨への投資と取引行為に制限を課している。
しかし、暗号資産は別に、中国政府が将来的にフィンテック分野(FinTech)における(非通貨)暗号資産の法的な枠組みを検討しないと言っているわけではない。これには、個人投資家や機関投資家に市場の安全性と透明性を保証するための適切な規制上の保護措置を具体化する必要があります。」
この取り締まりは、中国が2024年頃までに完全な流通を目指している独自のデジタル人民元の試験拡大に伴い実施される。
デジタル人民元はマカオにも重大な影響を与える可能性があり、行政長官の賀一誠氏は最近、SARが将来的に中国のデジタル人民元の導入を可能にするために金融法を改正することを明らかにした。
IAGがすでに伝えた通り 、中国のデジタル人民元は、決済システム全体を徹底調査し、WeChatPay(微信支付)やAlipay(アリペイ)などの決済アプリへの依存度を減らし、マカオの主な通貨であるパタカを置き換えることで、マカオにとってのゲームチェンジャーになる可能性がある。
投資運用会社のバーンスタインは、最近のレポートの中でこのように述べている。「もし人民元がマカオの法定通貨になれば、デジタル人民元の使用への道も開かれることになる。
カジノという観点から、これは例えば、香港ドルに両替する必要なく、(デジタル)人民元を使用して、瞬時にカジノケージから(またはテーブルからでさえ)、プレイ用チップを直接購入できるということを意味する。
マカオの主要顧客グループ(中国本土からの客)から通貨両替の必要性を無くすことは、プロセスを単純化させ、外貨両替手数料を顧客に負担させないという点からもメリットがあるだろう。
デジタル人民元によって、政府は金の流れをより詳しく精査し、管理することができるようになる。しかし、また送金がこれまで以上に容易になるために、(ジャンケット、地下銀行または質屋といった)仲介業者使用の必要性も排除してくれる。
マスおよびプレミアムマスプレイは金の流れが容易になることから確実に恩恵を受けることができるだろう。」