フィッチ・レーティングは、SJMホールディングスが2022年、マカオの新統合型リゾート、グランド・リスボア・パレスで20億香港ドル(約270億円)のEBITDAを創出し、その数字は2023年までに35億香港ドル(約470億円)に増加すると予想している。マカオ市場シェアを取り戻すための待望の一歩を踏み出し始める。
390億香港ドル(約5,215億円)をかけたグランド・リスボア・パレスは、コタイというマカオの近代のゲーミング中心地に造られたSJM初の施設となる。様々な挫折が続き、1年以上開業が遅れた後、最終的には21年第1四半期のオープンが予定されている。
現在も新型コロナの影響が続いており、フィッチ予想では今年残りの期間、EBITDAがゼロにで推移することを考えると、タイミングとしては理想的ではない一方で、同格付機関は、近い将来SJM最新施設からはるかに大きなものを期待している。
「フィッチは、グランド・リスボア・パレスによって、SJMがコタイでの足がかりを得て、市場シェアを伸ばすことができると見ている。」SJMが債務返済のためにシニア債発行を提案したというニュースに対応した月曜のレポートの中で同格付機関はそのように述べていた。
「我々は、グランド・リスボア・パレスでは、2022年までにテーブル330台でEBITDAが20億香港ドル、そして2023年までにはテーブル380台で35億香港ドルにのぼると予想している。これは、テーブルの再割り当て、そしてグランド・リスボア・パレスへのビジネスの移転によって既存施設でのEBITDAがわずかに減少することで一部相殺されるだろう。
それに対して、2016年8月にオープンしたライバルのウィン・パレスは2019年のEBITDAがテーブル325台で50億香港ドル(約670億円)、そして2018年2月オープンのMGMコタイは同年のEBITDAがテーブル259台で24億香港ドル(約320億円)だった」。
フィッチは月曜、SJMが提案中の社債を「BB+」に格付けし、同社自体は外貨建て及び自国通貨建て長期発行体デフォルト格付(IDR)の「BB+」とし、アウトルックは「弱含み」とした。同社は、今回の格付けはSJMの過去からの保守的な財務状態、そしてその負債比率が今後数年で改善するという予想を反映しており、同時に新型コロナからの回復が予想よりも遅くなるリスクを考慮に入れている。
同格付機関は、SJMの純有利子負債/EBITDAR(運転資本キャッシュを除く)が2020年に7.1倍に達するも、短期的にこれ以上のまとまった額の設備投資がないことに後押しされて、2022年までには3.5倍、2023年までには1.8倍に改善すると予想している。
フィッチは、「SJMの開発パイプラインは、グランド・リスボア・パレスに集中してきた。そしてそれは2020年に完成した。相当額にのぼる全ての未返済分は2021年までに返済される予定で、そのための資金は確保されている。
それ以降、フィッチは年間5億香港ドル(約67億円)の維持費を予想している。フィッチは、マカオにはこれ以上ゲーミング開発のための土地がなく、海外投資は可能性が低いことから、近い将来同社が何らかの大規模投資を行うとは予想していない」。