山下ふ頭へのIR(カジノを含む統合型リゾート施設)誘致をめぐり、横浜市議会は8日、誘致の是非を問う住民投票を行うための条例案を、自民党・無所属の会と公明党の反対多数で否決した。
この住民投票のための条例案の審議は昨年、市民団体らが約19万3千筆の署名を集め直接請求したことによるものだが、議長を除く85人のうち反対51人、賛成34人で否決され、実施されないこととなった。
8日の本会議で各会派の討論が行われ、住民投票に反対する黒川勝議員(自民党)は「IRについては冷静に事業の中身を議論すべき。まだ議論の材料がそろっていないのに住民投票を行えば、議会制民主主義の根幹を揺るがしかねない」などと述べた。一方、住民投票に賛成する望月高徳議員(立憲民主党)は「市民が住民投票の形で意見表明の機会を求めている以上、保障すべきだ」と述べた。この後、採決が行われ、反対多数で条例案は否決された。
議会での条例案の否決を受け、林文子市長は「住民投票を求める意見の背景にあるのは治安や依存症への不安があると思う。今後丁寧にわかりやすく説明していきたい」とコメントした。
一方、署名を提出した市民団体は会見を開き、「残念だ。引き続きこの問題に取り組みたい」と述べた。