会長兼CEO
ラスベガス・サンズ
会長兼CEO
サンズ・チャイナ
パワースコア: 5,900
昨年の順位: 2
評価理由
• コタイおよび会議主導型IRビジネスモデルの父
• 非ホジキンリンパ腫の治療後に87歳で復帰
• マカオとシンガポールで幅広い称賛を受ける施設を拡大中
• 日本から撤退。買収を含む別のアジアでのチャンスを模索中
彼が戻ってきたーー!!2019年の健康上の問題の後、シェルドン・アデルソン氏は万全の状態で戻ってきたようだ。ラスベガス・サンズが日本の統合型リゾートレースから撤退するという5月の発表はアデルソン氏のルールブックそのままの大胆な動きであり、業界全体、そしておそらく日本の首脳陣に対して目覚ましコールを与えたようだ。
アデルソン氏がそのような影響を及ぼすのは、彼がゲーミングビジネスの巨大ゴリラ(絶対的大企業)を作ってきたからだ。LVSは、あらゆる米ライバル企業の2倍以上の時価総額を、そして香港証券取引所で取引されるマカオのライバルたちの中でも最大の時価総額を誇る。子会社であるサンズ・チャイナはギャラクシー・エンターテインメントを僅差で上回っており、マカオのマーケットシェアの値も同様に推移する傾向にある。
アデルソン氏が沼地からマカオ版ベガス・ストリップへと造り変えたコタイの中央大通りに立ち並ぶ3つのIRによって、サンズは残りのライバルたちを客室数と小売で大きくリードしており、プレミアムマスゲーミングと非ゲーミング部門でトップを走っている。新型コロナからの回復は、プレミアムプレイヤーを中心に展開する可能性が高いものの、マス市場こそが未来を意味する。マカオと中国本土の当局は、この街を中国中間層の旅行先に位置づけを変えようとしているからだ。その戦略が、2022年に予定されているマカオのコンセ ッション再入札において、中国と対立姿勢を見せるドナルド・トランプ大統領への大口寄付者としてのアデルソン氏の位置付けを相殺する助けとなる可能性がある。
それでも、サンズはマカオのプレミアム市場を無視してきてはおらず、フォーシーズンズとザ・ロンドナーにスイートの客室を追加している。ザ・ロンドナーはサンズコタイセントラルがリブランドされた施設で、マカオの22億米ドル資本投資プログラムの中心的存在。新型コロナが影響する前は今年に稼働開始予定だった。
シンガポールではマリーナベイ・サンズが、世界で最も称賛されるIR、そしてほとんどの年で最も大きな利益を上げるIRの地位を維持している。今年10周年を迎えるシンガポールのスカイラインに加わったこの象徴的な施設には、太陽の光が降り注ぐショッピングモ ールと、その有名な屋上インフィニティプールがあるが、何よりもこの施設はアデルソン氏の会議主導型IRモデルの典型的な例になっている。
アデルソン氏はMICEからゲーミングへとやって来た。独自のコンベンションセンターを建てるために神聖なるサンズ・ホテルを購入し、ラスベガス・ストリップにオリジナルのベネチアンを開発することで、会議客がギャンブラーに部屋を奪われないようにした。このモデルはマカオではまだ花を咲かせていないが、シンガポールに完璧にマッチすることが分かっている。
すでに国際的なビジネス、金融、旅行のハブとなっているシンガポールは、マリーナベイ・サンズの12万1,000㎡の会議・展示スペースが、2,500室以上の客室とパッケージとなり、会議のハードウェアの重要な部分を手に入れた。昨年、シンガポール政府はLVSが長らく求めていた拡張というお土産を与え、2030年までのゲーミング複占契約を延長した。LVSは、予約希望のイベントを全て受け入れることが出来ないとして、1,000室のホテルタワーと共に、専用屋上プ ール、1万5,000人収容のアリーナの追加、そして極めて重要となるMICEスペースの拡張に33億米ドルを費やすことを約束している。
(シンガポールとLVSの職員は、2010年にデビューしたIRの前に来場者数を抑制した2008-09年の世界恐慌の影響を軽く扱う傾向がある)マリーナベイ・サンズの観光プロモーションツールとしての評判、地元住民がギャンブルするために入場料を支払う環境における成功、そして日本の当時の安倍首相による心からの称賛が、LVSは日本に自然に合う相手であるように見せた。
各IRに国内最大のMICEスペースを要求する日本のルールは、LVSのためのオーダーメイドルールのように見える。しかし、プロセスに時間がかかり、規則が増えたことで、アデルソン氏はもう日本からのリターンが彼の20%という基準を満たさないと判断した。
中にはLVSが日本のレースに復帰すると見ている人もいる。特に日本が新型コロナを受けて、一部の締め付けを緩めた場合、そしてアデルソン氏が、LVSが、IRに相応しいと話す国の金融と商業の中心地である東京でのIRに入札できるとなればだ(シンガポールは、LVSが展開する中でその要求を満たす唯一の場所)。その一方で、LVSはアジアや他の地域で別の開発の機会を模索すると話す。御年87歳、まだまだ終わらない。