ジェームス・パッカー氏が、2015年に米プライベート・エクイティ投資会社との間でクラウン・リゾーツの非上場化を交渉する中で、脅迫のEメールを送り、「恥ずべき」「不名誉な」行為をしたと認めた。
しかし、クラウンの筆頭株主である同氏は、その行為を自身の精神状態のせいにし、22億のクラウン・シドニー計画のためのクラウンのNSWカジノライセンス保有適正に関する調査に対して、当時はまだ未治療のままになっていた双極性障害に苦しんでいると話した。
この調査では、パッカー氏やクラウン・シドニーに近いと見なされる人物が、ライセンスの下で求められているような「人望」があるかどうかも決定される予定。
火曜、パッカー氏は所有する高級ヨットからのビデオリンク経由で調査に現れ、委員会が「Z社」と呼ぶ会社との交渉中に、同氏が正体不明の「X氏」に対してEメールを送っていたことを明かされた。 「X氏」「Y氏」「Z社」などの呼称は、2人の実業家と米プライベート・エクイティ投資会社が特定されないように使用された。X氏はZ社の幹部だった。
火曜の聴聞会ではそのEメールのやり取りに関する具体的な内容は明かされなかったものの、調査を助ける弁護士のアダム・ベル氏は、パッカー氏が非上場化案に向けて「Z社」から15億豪ドル(約1,137億円)ほどの出資を求めていたことを明かした。
パッカー氏は、同社が4億豪ドルしか拠出できないことが分かり、「X氏」に対して脅迫行為を行ったというベル氏からの質問を認めた。
Eメールでの行いは恥ずべき行いである、そして不名誉な行為であるという両方を受け入れるかを聞かれたパッカー氏は、どちらに対しても「はい」と答えた。
しかしながら、億万長者の実業家であるパッカー氏は、Eメールは自身の精神状態を反映したものだったと話し、双極性障害を「当時患っていた」と述べた。
それらEメールの内容を考えると、NSW規制当局はどうすれば同氏の性格または誠実さを信頼できるかというベル氏からの質問に対して、パッカー氏は、「現在双極性障害の治療を受けているから」と答えた。
衝撃的な証言の日になったこの日、パッカー氏は、2015年に中国本土でギャンブルを宣伝したとして19人のクラウン・リゾーツのスタッフが逮捕されたことに関連して、クラウンが深刻なコンプライアンス上の欠陥に苦しんだことも認めた。
今回、同氏がこれらの内容を認める前の先月、クラウン・リゾーツの元CEOであるローウェン・クレイギー氏が、同社が中国当局から身を隠すために広州市で「非公認」事務所を運営していたことを明かしていた。ベル氏は、同事務所は、中国に住む従業員の名前でリースされ、彼らにはその後費用が払い戻されていたと述べた。
ベル氏が、同氏がクラウン・リゾーツの執行役会長を務めていた時代にこの非公認事務所がどのような経緯でできたのかを聞かれた際、パッカー氏は、「コンプライアンス上の欠陥、重大な欠陥だった」と述べた。
会話に割り込む形で、パトリシア・バーギン委員は「パッカーさん、それでは済まないですよね?ベル氏は、上場会社の倫理規定について聞いている。核心にまで至る。分かりますか? それをやるのかという」と尋ねた。
パッカー氏は、「委員、深刻な欠陥だということを認める」と答えた。
パッカー氏は水曜午前10時からさらに証言を行う予定。