オーストラリアのクラウン・リゾーツは、ジャンケット営業に関わるプロセスの社内調査を実施する間の2021年6月30日まで、ジャンケットプレイを全面的に停止することを発表した。
今回の停止は、ニューサウルウェールズ(NSW)独立酒類・ゲーミング局の調査の際にケン・バートンCEOが行なった証言を受けたもので、同CEOは先週、上級幹部がクラウン・メルボルンにある自社カジノ内のジャンケットルームで行われていた巨額の現金デポジットや送金について知らなかったと証言していた。
その証言によって、パトリシア・バーギン裁判長はクラウンの社内AML管理を「大失敗」と呼ぶに至っており、同時に、自社の経営陣が知らない場合、ビクトリア州のゲーミング規制当局がクラウン・メルボルンの建物内で起こる出来事をどう追跡できるというのかと疑問を呈した。
それに対してクラウンは、金曜声明を発表し、コンプライアンスおよびガバナンスプロセスの見直しを明かし、その中に21年第3四半期までのジャンケット営業に関する全活動を停止することなどが含まれていた。
同社はまた、新たに設置されたコンプライアンスおよび金融犯罪部長という役職の人員募集手続きも開始したと述べており、この役職に就いた人物はクラウン・リゾーツの取締役会に直接報告を行う。
昨年末、クラウンのジャンケットパートナーが組織犯罪に繋がっている疑惑があると複数のメディアが伝えたことに対応して行われた今回の調査は、同社が今年12月に22億豪ドルのクラウン・シドニーをオープン予定のNSW州でカジノライセンスを保有する適性が現在もあるのかどうかを決定することが狙い。
また、メルコリゾーツ&エンターテインメントが取引から手を引き、今年に入って既存の持株を売却するまで予定されていたメルコへのクラウン株19.99%のの売却についても調査される。
金曜の声明には、過去5年間にVIPプレイが、クラウンのメルボルンとパースのカジノで生まれた平準化EBITDAに占めていた割合はおよそ7%のみだったと書かれていた。
また、同社が2020年12月14日からクラウン・シドニーの段階的なオープンを進めるつもりであることも明言されていた。
クラウンは「全面開業すれば、クラウン・シドニーでのゲーミング営業は、タワー内に入る12のプライベートゲーミングサロン全体で合計30台のテーブルゲーム、そしてこちらも6つのゲーミングサロンを含むポディウム内の2つの個別ゲーミングルーム内に設置される129台のテーブルゲームおよび66台の電子テーブルゲーム端末で構成される予定だ」と述べた。