中国が早ければ10月にも世界に先駆けて新型コロナウイルス用ワクチンを実用化する可能性がでてきた。ワクチン製造施設が国の検査に合格したことを国営の中国生物技術(China National Biotec Group:CNBG) が発表した。
環球時報(グローバル・タイムズ)によると、北京にある施設は、最近徹底したバイオセキュリティ検査を受け、その後製造認可が与えられた。これは新型コロナワクチンの準備ができ次第、大規模な製造を開始する承認が与えられたことを意味している。世界では「その類では初めて、かつ最大」と言われており、年間2億2千万本の製造能力を持つ。
専門家の見解では、中国国内で開発された多数のワクチン候補がすでに第3段階の治験に入っていることを考えると、早ければ10月にも初回分が製造され、実用化される可能性があるという。
その中には、中国の製薬会社、シノファームが開発したワクチンがあり、同社は現在、アラブ首長国連邦で1万5千人のボランティアに対してワクチン候補の治験を行なっており、同様の治験をブラジルで開始するための準備を進めている。
シャンハイ・フォサン・ファーマスーティカル(上海復星医薬集団)との連携でワクチン開発に取り組むドイツのバイオエヌテック(BioNTech)は先週、 人体が独自の抗体を作り出すよう働き掛けるmRNA技術を使ったワクチンを72人の治験参加者に投与したことを発表した。
Inside Asian Gamingが先週詳しく伝えた通り、中国本土および香港の科学者と共同で研究を進める澳門科技大学医学部(MUST)の研究チームが、ゲームチェンジャーとなり得る独自の画期的発見をし、新型コロナウイルスが宿主細胞と結合し、感染を引く起こす際に使用するスパイクタンパク質・受容体結合ドメイン(S-RBD)の中に見つかった特定の残渣を使って開発されたワクチンが、免疫マウス、ウサギそしてサルで「強力な機能的抗体反応」を誘導したことを発表した。
これらの抗体が、S-RBDが感染した場合に行うように主細胞受容体と結合するのを効果的に阻害したことで、実験室の研究ではウイルスの中和が確認された。
新たに承認された北京の施設で製造されたワクチンは全て、まずは国内で、主に医療従事者や、国境検問所で働く人に使用されることにはなるものの、ワクチン候補の多くが2021年初めの実用化を目標にしていることを考えると、10月という予定は注目に値する。
上海を拠点にするワクチン研究者のタオ・リナ氏は、グローバル・タイムズに対して、「中国が早ければ10月末に新型コロナワクチンを用意できる可能性はある。というのも、国内で作られた複数のワクチンが第III相臨床試験に入っており、サンプルへの効果の観察に必要な期間が約1カ月だからだ」と述べた。
報道では、現在13社の中国企業が新型コロナワクチンの開発に取り組んでおり、そのうちの9社に臨床試験の承認が与えられていると伝えられている。