政府はIR(統合型リゾート施設)に関する基本方針の決定を7月以降に先送りする。日本経済新聞が伝えた。この情報源は明らかにされてはいない。
当初は1月に決める予定であった政府による基本方針は、IR贈収賄疑惑や新型コロナウイルスなどの影響により既に半年近く遅れている。基本方針の決定はIR整備法に基づき、施行期日を「公布の日から起算して二年を超えない範囲内」(IR整備法の公布は2018年7月26日)としている。つまり、現時点では最終期限である今年の7月26日までには決定され発表されるはずである。
日経の記事によると、「カジノはギャンブル依存症などへの懸念から反対論が根強い。IR整備に関わる政府高官は『コロナ禍の最中にIRの準備を急げば国民の反発を招く』と話す」とある。
政府は先月26日、衆議院議員早稲田夕季氏が提出した「新型コロナウイルス対策を最優先し、IRカジノの推進を断念するべきことに関する質問主意書」に対し、答弁した。「(新型コロナウイルスの影響を鑑み)認定申請期間の延期を含むIR推進のプロセスを根本から見直し、IRカジノを我が国で推進すること自体を断念する検討を始めるべきではないか」という質問に対し政府は「現時点においては、都道府県等から当該期間の案を変更して欲しい旨の要望は受けていない」とし、従来通り変更は無いとの見解を示したばかりだ。そもそも、申請期間の変更には新たな立法が必要な為、緊急事態時に無用な困難を避けたいという意図があるのかもしれない。本年度通常国会は6月17日までであり、残りの約半月は新型コロナウイルス関連に注力したいという意向もある。ただ、もし基本方針の延期だけ行い、申請期間をそのままにするようなことがあれば、誘致する自治体や参入を目指す企業の負担があまりにも大きくなる。政府は自治体からの要望が無いため申請時期の変更はしないとしているが、これは自治体や企業にとってもセンシティブな問題だろう。上手く先行している自治体は申請時期の延期によりリードを失う、もしくは7月に知事選が終わる東京の参入、「今回の申請は見送る」とした北海道の時期延期による復活などがあれば目論見が崩れる。そして、その可能性は0では無い。
新型コロナウイルスで沈んだ景気回復のためにも、IR整備への道筋は以前にも増して間違えることの出来ない局面を迎えており、政府の動向が注目されている。