横浜市議会開幕　IR誘致に向け、多難の船出

　横浜市議会の第3回定例会は3日開会し、林文子市長がIR誘致を決めたことに対し、野党系議員から批判が相次いだ。一方、与党系議員からは誘致を評価した上で、市民への説明など丁寧に進めるよう求める声が出た。100席超の傍聴席がほぼ埋まるなど、IRに対する市民の関心の高さが改めてうかがわれた。日本経済新聞などが伝えた。

　市は同日付でIR関連の補正予算案として計2億6,000万円を市議会に提出した。この日、8人の議員が質疑をし、このうち6人がIR誘致について反対の立場から林市長を追及した。

　立憲・国民フォーラムの藤崎浩太郎議員は「2017年の市長選の全投票数は114万票だったが、誰一人としてIR誘致を表明する候補者に投票していない。カジノ反対を明示した候補者には約53万票が投じられた」と指摘。その上で「今からでも改めて市民のIRへの意見、賛否を問い、誘致方針を見直すことは遅くない」と迫った。

　これに対し林市長は「IR整備法では都道府県の同意、公聴会の実施、議会の議決が規定されている」と説明。全18区に自ら出向いて市民向けの説明会を開く考えを示したが、住民投票については改めて否定した。

　共産党の河治民夫議員は「ギャンブル依存症対策が整備されても、財源確保のためだとしても、非道徳的なものに行政が踏み切るのは間違っている」と訴えた。

　ほかに、IR誘致による経済効果の算定根拠が不明瞭なことや、地域経済へのマイナス面について検討されていないとの指摘もあった。

　一方、自民党・無所属の会の黒川勝議員は「市長の決断をしっかりと評価する」と述べた上で、「（市民にIRについて）理解、納得、賛同してもらう3段階の説明会が必要だ」と述べた。公明党の望月康弘議員は「あらゆる課題を解消し、丁寧に事業を進めなければ、横浜におけるIRの実現は成り得ない」と述べた。併せて「IRはこれまでにない大規模なプロジェクトだ。これまで以上に議会の責任ある議論を進めるのが不可欠だ」とした。