ドナコ・インターナショナルの創業者であるジョーイ・リム氏とその兄弟のベン氏は、取締役会から両氏を除外しようとする株主の最近の動きのずっと前に、主要役員の希望といつの間にか対立する状況となっていた。
オーストラリアの買収委員会が、アジアの投資会社、オーチャート・キャピタル・パートナーズ(OCP)による12月の株式取得に対する不利な裁定を発表したことで、ジョーイ・リム氏がドナコの支配権維持のために戦っている間に起こっていたリム一族とドナコ・インターナショナルの役員の間の分裂が金曜、明るみに出てきた。
買収委員会は、当時ジョーイ・リム氏が保有していた27.25%の株式への担保権を行使する手続きを行なっていたことをマーケットが認識していなかったという理由で、OCPにはドナコ株の9.71%を市場買付する資格がなかったという裁定を下した。OCPは2017年、担保付きの融資契約の下でリム氏に対して3,400万米ドル(約36億9,053万円)以上を融資しており、これは同氏が2018年11月5日に利息の支払いで債務不履行に陥る約18か月前に行われていた。
金曜に公表された裁定の詳しい内容によると、OCPは、今年1月に匿名のゲーミング業界関連の会社をドナコのスチュアート・マクレガー会長、ベン・リーシェル執行役員、そしてジョーイ・リム氏に紹介し、その会社は発行済み株式の15%に相当する新株を市場価格に大幅に上乗せした価格で買い取ることでドナコに投資することを強く希望していた。
この戦略的な関係では、同社がドナコ施設のうちの1つ、カンボジアのスターベガスまたはベトナムのアリスト・インターナショナルの経営権を前提とすることにもなっていただろう。しかしながら、マクレガー氏とリーシェル氏が取引が行われることに賛成の票を入れた一方で、リム兄弟は反対の票を入れた。取引は結局行われることはなかった。
また、OCPが仲間であるオーストアリアに上場するゲーミング企業、シルバー・ヘリテージ・グループの取締役、マシュー・ハンター氏をドナコの取締役に推薦していたことをも明らかにされた。12月18日付のEメールの中で、OCPの代理人はこう書いていた。「マシュー・ハンター氏をCCに入れている。マシューは、当社が投資してきた多くの企業の取締役に就いている。彼はドナコの取締役員に適していると思う」
マクレガー氏に宛てた1月9日付の別のEメールには、「当社は、マシューをDNAの取締役に加えることは非常にプラスであると確信しているため、都合がつき次第マシューとのミーティングを設定してもらえると大変有難い」と書かれていた。
ドナコはその代わりに、人材紹介コンサルタントを雇った後の4月、シルバー・ヘリテージの元会長であるデービッド・グリーン氏を取締役に新たに加えることを発表した。
別の展開として、シルバー・ヘリテージのジェームス・スペンスリー氏が最近ドナコの5%の株式を市場買付し、即座にリム兄弟を取締役会から除外する動きを始めている。
ジョーイ・リム氏は3月にドナコの雇用契約を終了されているが、非執行役員としては残っており、同様にベン・リム氏も先週、ポール・アーバックル氏の新CEO就任を受けて、暫定専務取締役兼CEOとしての任期を終了している。