IAGはマカオのアジア・パイオニア・エンターテインメント(APE=亞洲先鋒娛樂控股有限公司)のハーマン・ウCEO兼執行役員にインタビュ ーを行い、2018年の同社の大きな成長、アジアでの拡大計画そしてマ カオのEGM(電子ゲーミング機)産業の現況について話を聞いた。
ベン・ブラシュク: 最近発表した2018年度決算では、収益と純利益の両方が増加したことを報告されました。その結果について一番うれしかったことは何ですか?
ハーマン・ウ:過去18カ月間の我々の努力が報われたことを示していると思います。会社にとって非常に好調な1年で、おっしゃる通り、多くのセグメント、そして東南アジアの複数の地域で大きな成長となりました。収益は27%増加して、約1億1,000万香港ドルにのぼり、利益は350%以上の伸びとなる2,000万香港ドルに達しました。これは我々が正しい方向に進んでいるということを示しています。カンボジアやフィリピンなどでも進歩が見られました。
BB: アジア・パイオニア・エンターテインメントをご存じない方のために、どのような事業を行っているのか少し説明していただけますか?
HN: そうですね。我々はマカオを拠点に、電子ゲーミング装置および部品の販売と整備・修理を専門にしています。マカオにある数多くの企業の代理で、製品承認の申請や、販売・流通などのお手伝いをしています。古いEGMを修理して販売したり、顧客へのコンサルティングや技術的なサービスを提供したりもしています。
BB: どのような企業のお手伝いをされていますか?
HN: 長い間変わっていないのですが、Jumbo(尊博科技)、コナミそしてSpintecなどの企業があります。
BB: マカオでAPEのサービスを使うことでこれらの企業にはどういった利点があるのでしょうか?
HN:メインとなるのは、製品の承認を得ることです。ご存知の通り、マカオでの製品承認にはかなり長い時間がかかります。しかし、我々はそのプロセスを熟知しており、はるかに早く終わらせるお手伝いができます。新製品の承認には通常最低でも3カ月、しかし多くの場合、最大6カ月かかってしまうこともあります。承認プロセスでミスが見つかれば、最初からすべてやり直しとなり、市場に製品を投入することが出来るまでに12カ月かかることになります。その様なことが起こらないようにしています。
BB: マカオ市場に新製品を投入するという話が出ました。コンセプトやイノベーションといった面で、感動した新製品は今現在ありますか?
HN: はい、あります。ちょうどコナミの「Fortune Cup」という新製品をマカオにある2つのカジノに設置したばかりで、それがどれくらい人気を集めるかということに非常に興味があります。解説付きの競馬ゲームで、多くのお客様にとって非常に魅力的なゲームだと思います。マカオにある他のゲームとは全く異なるもので、市場はこういうものを求めていると思います。
BB: APEが香港証券取引所のグロース・エンタープライズ・マーケット(成長企業市場)に上場してから18カ月が経過しました。会社の発展にとって上場はどれくらいの重要性を持っていましたか?
HN: 大きな違いを生み出してくれました。上場によって、事業により多くの資金を投入できるようになり、それによってマカオ以外にも拡大していくことが出来ました。アジア・パイオニア・エンターテインメントの名前を広めるという点でもかなり役立ちました。私たちが何者なのか、そして何をしているのかということがより広く知られるようになりました。
BB: 香港証券取引所のメインボード(大型企業向け市場)に上場する計画はありますか?
HN: 検討はしています。まだ決定はしておらず、議論している段階です。それについては2019年のどこかのタイミングで決定すると思います。

BB: APEは以前アジアへの拡大計画を表明していました。現在どの国で大規模な営業を行っていますか?
HN: マカオが今もなお最大のマーケットですが、ここ1年程は東南アジア全土から大きな関心が寄せられています。マカオは昨年少し減速しましたが、カンボジアでいくつかオープンし、今年の後半にはカンボジアとベトナムの両方でさらにオープンする予定をしています。
BB: 拡大するにあたって最も大きなチャンスがあると思うのはこの2カ国ですか?
HN: そうですね、ある程度は。マカオにもまだチャンスはあります。コタイに2020年のオープンを控える新しいカジノが2つあります。グランド・リスボア・パレスとリスボエタです。これによってAPEに新たなチャンスがもたらされます。なぜならマカオでは全てのオープニングが数年前の同時期に集中したために、少し成長が鈍化していました。
しかし、東南アジアの方が速いスピードで成長しています。今年、ホイアン・サウス・ディベロップメントが開発しているホイアナを含むいくつかの新カジノがベトナムでオープンします。ホイアナ・カジノは、サンシティー・グループ・ホールディングス傘下のサンシティー・グループ・マネジメント・アンド・コンサルタンシー(SGMC)によって運営される予定です。サンシティーは、カンボジア、ベトナム、ロシアそして韓国などの国々にあるカジノにも参入しています。
ETG(電子テーブルゲーム)の需要がベトナムで大きく伸びています。また、カンボジアでは、シアヌークビルやその他複数の場所でかなりいろいろなことが進んでいます。これらが現在我々が新規ビジネスを行っている場所になります。
他に、フィリピン、カンボジア、ベトナムなどの全ての市場で、EGMのリースに関する問い合わせが増えています。
BB: マカオのゲーミング産業がテーブルゲームに支配されているのは明らかです。マカオにおけるEGM市場の現在の状況についてどうお考えですか?
HN: EGMはマカオのゲーミングフロアではほんの一部を占めるにすぎません。しかしマーケットは非常に広いのです。テーブルゲームが推進力ではありますが、それでもEGM市場もかなりの大きさがあります。マカオについて話すとき、多くの人はこのことを忘れがちです。
マスマーケット部門でも安定した成長が見られていて、私たちの顧客であるカジノ事業者6社はこの部門でサービスを提供する新たな道を模索しており、それがAPEのような企業に素晴らしい機会を提供してくれます。なぜなら、EGMやETGはそれにぴったりだからです。
またそれが、先ほど申し上げたように「Fortune Cup」のような製品が大きな可能性を秘めている理由でもあるのです。カジノ事業者はカジノフロアで注目を集めるような面白い新製品を探しています。そして彼らが求めるものを提供するための扉が我々へと開かれます。全ては新しくて面白いものを提供するということに尽きます。