ポケモンGOのような人気の高い拡張現実アプリによって、カジノフロアでのそのような技術の応用への次の道筋は見えてくるのか?
昨今スマートフォンは、エンターテインメント、ニュース、その他のあらゆる形の情報を消費する形を再定義してきた。そして多くの人間にとってもはや手放すことのできない付属品となった。しかし、カジノフロアでの実用性というのは非常に限定的である。それは実際のところ、サービス提供速度を上げるためにスロットマシン係とウェイトレスだけがモバイル端末を仕事で利用しているという状況だ。
数年前、ポケモンGOが世界の舞台に突如現れ、仮想現実(バーチャルリアリティ:VR)が将来的に有望であることが突然明らかになった。現実を拡張するために要素を重ね合わせ、それを可能にするために電話をVR画面として使用するというアイデアは、今や現実世界で応用されている。現実の空間にアニメキャラクターをはめ込むという希望を叶えることが出来るだけでなく、作り上げられた世界全体を非常に興味深い方法で合成することができるのだ。

例えば、ソファのような大きな家具の購入を決断する前に、イケアなどの会社は自分のカメラ付携帯で部屋を撮影し、ソファが設置された状態のAR画像を見ることができるアプリを提供している。購入する前に(または購入せずに)、ソファを自在に移動させてどこに一番フィットするかを見たり、または色や生地を変更したりすることさえもできるのだ。
このコンセプトがいかに多くのシナリオで使えるかというのは容易に想像がつく。ホテル客室の比較から車の購入、そして衣裳ダンスの中身まで。今では、無数にある仮想世界に仮想の自分自身を置いてみて、「合う」かどうかを確認することができるのだ。
この技術によって近所や博物館、ギャラリーなどのバーチャルツア ーはより多くの人を惹きつけ、没入できるものとなった。しかし、このコンセプトをカジノフロアに当てはめて既存のVR関連技術を100%活用することはできるのだろうか?
ここで、ある興味深い例を紹介したい。スロットをプレイする人達の中には、ゲームを前にした時、一定数縁起を担ぐ人がいるのはよく知られた話だ。彼らはジャックポットが出ていないスロットマシンは「もうすぐ当たりが出る」と考える。 もちろんそんなはずはない。なぜなら、理性的な人なら誰でも知っているように、スロットマシンのリールの回転は全て無作為に起こっている。プレイヤーがスピンボタンを押してから1,000分の1秒でその結果は決まっている。回転するリールというのは目を楽しませる以外の何物でもない。3つ、6つないしは9つのリールがすでに決まっている結果に落ち着くのを見るというプレイヤーにとっての娯楽なのだ。リールが回転している間、画面をこするプレイヤーを見たことがある人は多いのではないだろうか。まるで祈りを込めたこの努力が、すでに決まっている結果を変えられるかもしれないと信じているように。ただの縁起担ぎである。
ポケモンGOモデルを出発点として使用すると、リアルタイムのカジノフロアデータが、カジノ業者が提供する仮想現実アプリに動力を供給することができるかもしれない。アプリをダウンロードした客がカジノフロアに入り、自分の視界にあるスロットマシンをスキャンする。そうすると、カジノフロアにはユーザーの好みによって決まる拡張の視覚効果が重ね合わせられる。
例えば、客はミニマムベットが1ドル以下のマシンだけを見つけ出すことが出来る。しかし、この体験が本当の面白さを発揮するのはここからだ。このアプリはゲーミングフロアにあるスロットマシンの中で、特定の時間枠の中でジャックポットを出していないスロットマシンを全て浮かび上がらせることができる。
このデータが明らかに独自であり、ゲーミング規制当局の監視の対象である一方で、ジャックポットの頻度に関する情報をカジノ客と共有してはいけない正当な理由はない。事実、仮想現実アプリを通じてこの情報を公開することは、特に頻繁にカジノを訪れる縁起担ぎが好きな顧客の体験を大いに充実させることになるだろう。カジノフロアをより深く「見る」この力と、そのジャックポットチャンスの可能性によって、ワレットシェア(顧客内シェア:個々の顧客の消費における自社占有率)は、得意客の多くの層で確実に増加するだろう。
プレイヤー1、アー ユー レディ?