フィリピンとカンボジアが急速に成長し、ASEAN地域トップのゲーミング目的地になりつつあることで、ゲンティン・シンガポールとゲンティン・マレーシアが長きにわたって維持してきたASEAN市場のリーダーとしての立場に終止符が打たれることになる。
JPモルガンのリサーチレポートの中でASEAN市場でのシェアを譲るという不可避の状況が指摘されており、その理由としてシンガポールとマレーシアのより厳しい営業条件とは対照的なライバル国が享受する比較的規制の緩い環境、カジノの供給が増える中ゲーミング以外の施設に多くを投資する必要性の低さ、費用面の大きなアドバンテージ、中国との繋がりの増加を挙げている。
投資銀行のJPモルガンは、「過去25年間、ASEANの投資家はゲンティンの株式グループをゲーミング分野の傑出したポジションとして見てきた。現在、この地域の需要ダイナミクスが同グループに不利な方向に動いている。特に、2019年にはゲンティンのホーム市場であるシンガポールとマレーシアがASEAN最大のギャンブル国としての地位をフィリピンとカンボジアに譲るという変化が起き始めている」と述べた。
アナリストが特に懸念している点にシンガポールによる入場税とゲーミング税の引き上げがあり、同時にゲンティン・マレーシアの方は税の高騰と、米パートナー企業を巻き込んだ訴訟によるFoxテーマパークの遅れに直面している。
その間、フィリピンとカンボジアでは2014年から2019年の間に2.4倍もの成長が見られており、需要と供給はこの地域で競合する他のどの国よりも早いペースで伸び続けている。
JPモルガンは、「ゲンティン・シンガポールとゲンティン・マレーシアは不利な状況にあり、地域内の競合国にマーケットシェアを奪われる状態は今後数年で加速するだろう。我々は、アクセスと流動性がセクターの主な推進力であると見ており、シンガポールとマレーシアは競合国に対して不利な状況にある」と述べた。
アナリストは、両社の株式にアンダーウェイト(売り)の格付けをしており、今後数年で株価が11%から15%下落する可能性があると予想している。
しかしながら、親会社のゲンティン・グループに関しては、リゾート・ワールド・ラスベガスの収益化の可能性と、同社のプランテーション、石油、発電事業によるリスク分散というプラスの側面によってはるかに大きな機会を提供すると述べた。