ゲーミング及びホスピタリティ産業における人工知能の潜在的な使用法は無数にある。Inside Asian Gamingが解説する。
こんにちは、私はAI(人工知能)です。
もちろん、実際は違う。少なくとも今のところは。私はこの記事を執筆する何の変哲もない普通の人間だ。しかし、レジャーおよびエンターテインメント業界でAIがその活躍の場を得るにつれて、かなり近い将来、機械によって書かれた記事を読んでいたり、世界中の統合型リゾートやホテルで機械に出迎えられているということになっているかもしれない。
今のところ、この業界で働くAIは主に舞台裏の仕事を受け持っている。AIは大抵の場合、人間の脳細胞よりも電子プロセッサの方が役に立つ分野において警備や管理スタッフを手助けしている。
ゲーミングフロアではすでにテーブルでの不適切な行動を追跡するために使用されており、そのような行為が確認された場合、それが適切に調査されるよう警告を出している。
そしてもちろん、マーケティングでも使用されている。
業界にAIのサービスを提供するSABA ホスピタリティ テクノロジー ソリューションズの業務執行役員、ステファン・レンジーハウゼン氏は、「個別のセグメントを最も惹きつけるキャンペーンをオーダーメードで作ることができる。

それはとても大きなことで、特にマカオの統合型リゾートにとって、どのようにして、以前ここに来たことがある客に再訪してもらうのか、そしてどのようにして新しいマーケットを開拓するのかというのは重要なことだ」と語る。
現時点ではAI機能がそのような業界の「バックエンド」の分野を中心に活躍している一方で、人間との交流が必要な仕事への応用はまだ遅れている。しかしながら、AIはかつてないほどに人間の行動を模倣するところまで来ており、今後数年の間にこの状況が変わる態勢は整っていると感じる。
昨年5月にGoogleが、7,000人の参加者が集う会議においてDuplex技術を公開した。Google Duplexは人間の代わりに電話をかけて予約を取るAIだ。まだ開発の初期段階ではあるが、イベントの中でDuplexは、気味が悪いほどに人間のやり方を忠実に真似て、ヘアサロンへの電話予約を成功させた。人間の行動に非常に酷似していたために、-Googleは、Duplexが会話の相手に対して彼らはAIと話をしているのだという警告を発するようになるだろうと話した。
この種のAIはチャットボットとして知られており、レストラン、スパ、その他施設の予約、もしくは単に枕の追加をお願いするために受付やコンシェルジュに連絡する時など、将来統合型リゾートの多くの分野で接触するようになることが予想される。
これらサービスの合理化に加えて、チャットボットによって言葉の壁を乗り越えられるようになることは確実で、現地住民とコミュニケーシ ョンが取れないという不安から旅行に対して消極的になっている世界中の客に対して、チャットボットがIRへの扉を開いてくれる。
この技術を使用することで得られる恩恵は、無限の可能性を秘めている。しかし、その中でも最も注目するべき点は、雇用に対するプレッシ ャーを少なくできるということだ。労働力が限られる小さな国や地域、例えばマカオ、または日本などの未来のゲーミング中心地にとってさえも、この技術が人材確保の問題をある程度解決してくれる可能性がある。現在みられるこの最たる例が中国杭州にあるアリババ・フューチ ャー・ホテル(阿里未来酒店)で、大半のサービスが機械によって提供されている。
それでもなお、SABAのアカウント・アンド・パートナーシップ部門の執行役員であるアレクサンダー・ウェッセルズ氏は、AIは単に人間がよりよい決定を行う手助けをするために存在しているのであって、ホスピタリティやゲーミングセクターで人間を置き換えるためにあるものではないと考えている。
ウェッセルズ氏は「常にディーラーとの間には感情的なつながりが存在します。だからこそこれほど多くのディーラーがいるのであって、だからこそ彼らは礼儀正しく振舞う方法を訓練されているのです。しかし、ロボットに関しては実際完全に信頼することはできません」と語った。
AIのおかげで、IRの伝統的なルック・アンド・フィール(外観と操作感)のアプローチは徐々に新しいサウンド・アンド・フィール(音声と操作感)によって補完されてきている。しかし結局のところ、このセクターでの人工知能の成功というのは、客の感じ方次第ということになるだろう。