取締役兼CEO
ウィン・リゾーツ
CEO兼業務執行取締役
ウィン・マカオ
パワースコア: 1,749
昨年の順位: 7
評価理由
• スティーブ・ウィン氏辞任後にウィン・リゾーツ取締役会の刷新を監督してきた
• 2002年にウィン・リゾーツに加わって以来、長い間会社に尽くしてきた
スティーブ・ウィン氏のセクハラ事件の後遺症も今は、ほぼほぼ過去のものとなり、マット・マドックスCEOはやっとそのエネルギーを、ウィン・リゾーツをはるかに問題の少ない明るい未来へと推進することに集中できている。というか、少なくとも、新型コロナが業界を停止させてしまう前まではその予定だった。
3月17日、ウィンは新型ウイルスがまん延する中、ラスベガス・ストリップで営業を停止した最初の大手米事業者の1社になった。当初は2週間の予定だったが、結局6月に限定的に営業を再開するまでのほぼ3カ月間という長い休業となった。
同社がその最初の数カ月間、スタッフを解雇せず、約2億5,000万米ドルの費用をかけて、1万5,000人近い従業員に5月の終わり近くまで全額給与を支払い続けたことは称賛に値する。そういったことこそが、ここ最近ウィンがもっとできたであろう類のPRの成功だ。
それにもかかわらず、新型コロナが国内外両方で大きな打撃を与えている。2020年第2四半期のグループ全体の収益は、前年比で94.8%減となる8,570万米ドルにまで減少し、同社は6億3,760万米ドルの損失を計上した。取扱高の少なさと運の悪さによって、ウィン・マカオとウィン・パレスというマカオのカジノは、両方で実際のカジノプレイで1,500万米ドルの損失を叩き出しており、このような数字は3カ月間という期間では前代未聞の信じられない数字だ。
それに対して、ウィン・リゾーツはすぐに行動を起こし、5月に6億米ドルの社債発行によって流動性を強化し、その後6月と8月にはウ ィン・マカオが2回の募集を行い、合計で約16億米ドルを調達した。
また、8月には、同社が横浜オフィスを閉鎖したことが明かされた。日本での統合型リゾートライセンス獲得の取り組みを急激に白紙に戻した形だ。
マドックス氏は20年第2四半期業績報告の中で、アナリストに対して、日本市場を注意深く見守ってきて、「そのビジネスがどのようなものになるのか、世界がどうなっていくのか、そしてそこでの規制は実際どのようなものになるのかがもう少し明らかになるまでは活動をほぼ停止するという決断を下した。4カ月ほど前のことだ。
同市場に関心がないという意味ではなく、ただ、今は当社の焦点ではないということだ」と述べた。
最近の日本のIRスケジュールの遅れによってウィンがその取り組みを再活性化する機会を得るのかどうかは後々分かってくるだろう。
ウィンは、現在も新型コロナの影響を受けており、ウィン・ラスベガスでは6月4日の再開以降、労働者の3.6%にあたる548人が新型コロナ陽性判定を受けている。
しかしながら、少なくとも取締役会レベルでは、マドックス氏は過去12カ月間に、非常に求められていた安定を何とか取り戻し、現在のウィン・リゾーツ取締役会は、創業者の軽率な行為に反発しなか ったことで非難されたものとは全く違うものになっている。
また、過去2年間に一連の長引く法廷闘争を終わらせる努力を前へと進めたのもマドックス氏だった。ウィン・リゾーツが2012年の取締役解任に端を発する岡田和生氏への全ての訴えを取り下げる決断、そして岡田氏の元会社であるアルゼUSAおよびユニバーサルエンターテインメントとの間の株式の強制償還に関連する26億米ドルの和解合意などもマドックス氏の功績だ。
それによって解放された同社は、この先の道に集中できるようになり、ウィン・ラスベガスは今年に入って、約4万㎡のコンベンションスペース、そしてウィン・マカオがウィン・パレス第2フェーズ開発の準備に入ったことを明かしている。