Inside Asian Gaming

2022 年 1月 IAG JAPAN 21 巻頭特集 2 018年5月、私は、世界最大 のゲーミング見本市「ICEロ ンドン」の主催者たちがプロ デュースした東京での大規 模国際カンファレンス、ジャ パン・ゲーミング・コングレスの司会を 務めた。世界のIR業界の紛れもない大 物たち、そして日本の多数の大企業お よび潜在的な現地サプライヤーを代表 するおよそ600人の代表団全員が、日本 IRという動きの分け前にあずかろうとし ていた。 日本に関する業界の騒ぎ声は2010 年代に大きくなった。2014年、そして 2015年にも、与党自民党が2020年東 京五輪に間に合うようIRを開業させる 努力をしていると発言した。2016年12 月、IR推進法が成立。フィナンシャル・タ イムズ紙は、「(当時の首相である)安倍 晋三氏が抱いていた望みを叶え、400億 ドル(4.4兆円)規模になり得る日本ゲー ミング業界を支配するためのレースの 火蓋が切って落とされた」と描写した。 2018年7月にはIR整備法が成立し た。最後に残った巨大未開発IR市場と も呼ばれた場所、GDP約550億円、人口 1億2,500万人を有する地球上で三番 目に大きな経済大国で事業を行うとい う展望に対して、世界のほぼすべての 主要IR事業者、そして多くの第二、第三 階層事業者の垂涎の的となっていた。 日本の多くの都道府県や都市がその機 会を模索するための「IR推進室」を創設 した。 洗練された日本の食事、美しい設計 美、そして古代と歴史が、現代的かつ技 術的進歩と融合した素晴らしい文化的 ミックスを活用したIR構想が表に出て 来始めた。世界においてこれまでで最 も高額なIRでさえ、その費用は40億か ら50億米ドル(4,400億円から5,500億 円)ほどであったにもかかわらず、突然 100億米ドル(1.1兆円)またはそれ以上 という投資額が無造作に口にされるよ うになった。 IAGでさえ、思い切って一歩を踏み出 し、2019年1月にIAG Japanブランドを 立ち上げ、自社の言語ポートフォリオに 日本語を加えた。また、専門の日本オフ ィスにスタッフを配置し、長い歴史を持 つ日本語のB2Bホスピタリティ業界メデ Just about every major IR company in the world has abandoned what used to be called “The Japan Opportunity” and might now be called “The Japan Folly.” 世界のほぼすべての主要IR企業が、かつて「日 本というチャンス」と呼ばれ、今となっては「日 本という愚行」と呼ばれるかもしれないものを 見捨てた。

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