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2021 年 12月 IAG JAPAN 9 www.asgam.jp 白馬の騎士か無用の長物か？ ベン・ブラシュク 編集長 あなたのフィードバックが必要です。 コメントは bb@asgam.comへ 送ってください。 社説 少 なくとも表面上は、インペリアル・パシフィック・イン ターナショナル（IPI）とその問題を抱えるサイパン のカジノ、インペリアルパレスの激動の物語は終盤 に差し掛かっているように見える。だが、財産管理 人が負債の一部を返済するために同社のゲーム機器を競売にかけ 始めている中でさえも、答えよりも多くの疑問が残っている。 米国自治領北マリアナ連邦（CNMI）最大の島であるサイパンの 住民にとって、それらの中で最も差し迫った問題は、ガラパンのウォ ーターフロント沿い、最高の立地に未完成のまま建つ小さいとは言 えない構造物がどうなるのかということだ。 インペリアルパレスにあるカジノは、新型コロナの影響で2020 年3月に閉鎖された。それ以降、IPIは、2020年の年間1,550万米ド ル（17億円）のライセンス料と310万米ドル（3.4億円）の規制手数 料、そして2018年と2019年の地域便益基金への年間2,000万米ドル （22億円）の寄付など、契約上の財政的コミットメントを履行できな かったことが原因でライセンスが停止されている。 建設はずっと前にストップし、ホテル構造の大部分は屋根がなく、 風雨にさらされている。 それにもかかわらず、IPIは香港証券取引所の上場を維持し、規 制と財務の最新情報を提供し続けている。これは同社が白馬の騎 士が現れて、おそらく、自分の目的を果たすためにインペリアル・パ レスの一部を購入することでIPIを救ってくれるという希望を持ち続 けていることを示している。 それが現実的な期待であるかどうかは、贔屓目に見ても疑わし く、業界の専門家は、同施設が最初から大きすぎて市場にとって野 心的すぎると断言している。言い換えれば、どの白馬の騎士が来る にしても、抗えないほどの良い取引が必要ということだ。 もちろん、答えが返ってこない可能性のある、より大きな疑問がた くさんある。2014年にサイパンのカジノの開発と運営のために25年 間のライセンス入札に参加し、それを獲得して、最初に$3,000万米ド ルを払った際のIPIの意図がそもそも具体的に何であったかなどが その例だ。今年6月にIPIの会長を辞任したマカオのジャンケット元幹 部、崔麗傑(Cui Li Jie)氏が過半数を所有するIPIはまず、2015年にサ イパンで一時的なカジノ施設、ベストサンシャインライブをオープン し、すぐに16台のVIPテーブルで、ザ・ベネチアン・マカオの100台以上 のテーブルでの取引高を超えるローリングチップ取引高を報告した ことで世界中からの注目を集めた。 IPIは当時、マカオと比べて寛大な手数料がプレーヤーにとって 魅力的であると述べていたが、間もなく同社がクレジットを発行する 際、細かい内容に配慮していない可能性があることが明るみに出て きた。2017年半ばまでに、債権残高はグループ全体の収益と同等と なっており、2018年までには、創出されたあらゆる収益をはるかに 上回る額になっていた。IPIの2020年中間報告によると、債権総額は 90億5,000万香港ドル（1,315億円）に達し、過去2年間で5億300万米 ドル（550億円）と3億6,700万米ドル（400億円）の損失を計上した。 コロナ前でさえ、IPIは、インペリアルパレス・サイパンの完成が不 確かであることを幾度となく示唆しており、これまでに6度の期限延 長が認められ、今後も要請が続くことをほのめかしている。何度も要 請が認められたことというのは、サイパンと、こちらも並んで夢見て いた活況の統合型リゾートの財政的な利得を楽しんでいたテニアン 島、ロタ島という小さな島の当局が単にどれほどその成功に乗りか かっていたかを示しているという意味合いだ。 サイパンの議員たちは最近、IPIのカジノ独占営業を終わらせ、よ り規模が小さく、より持続可能なカジノのために最大5つのライセン スを発行する法案を提出した。おそらくそれらカジノはサイパンにあ るいくつかの既存ホテル内に作られることになる。 一度も存在していない税収の少なくとも一部を置き換えるため に作られた同法案は、おそらくIPIの最大の支援者達さえもが彼らの 白馬の騎士が、むしろ無用の長物に近いことをついに理解したとい う最初の本当のサインだろう。