Inside Asian Gaming
2021 年 7月 IAG JAPAN 9 日本は道を見失ったのか? 2 018年に東京で開催されたジャパンゲーミングコングレス (JgC)では、何百人もの業界関係者と政府専門家が一堂に 会し、当時地球上で最も刺激的な新カジノゲーミング法域 であった場所についての意見を交わした。 高い地位にある政治家から、世界的な統合型リゾート事業者、ゲー ミング製品販売業者、潜在的な投資家そして専門のコメンテーター まで、業界の主要なステークホルダーたちが、日本初のIRまでの道 のりで重要な問題に対応するための話し合いを行った。IR推進法は このイベントよりも前の2016年に可決され、そして、2018年のJgCか らわずか数週間後にそれに続くIR整備法が可決された。 当時、そしてその後18カ月間に生まれた非常に大きな関心を強 調するために、Inside Asian Gamingは2020年1月号で日本IRの状 況に関する詳しい考察を行った。日本版IRをめぐる状況を深く掘り下 げたその長文記事では、少なくとも12の見込み候補地と、日本に関 心を表明していた20の候補事業者を分析した。 それから時を18カ月進めると、その数は激減し、候補地はたった 4か所に(そのうち1か所は最近撤退をちらつかせていた)、そして4か 所での合計候補事業者は7社という状況になっている。 どうしてこんなことになったのか? 新型コロナが一因であることは明らかだ。日本の高額な開発費 が、世界中での施設の一時閉鎖によってもたらされた財政的圧力と 重なったことで、既存事業に集中またはその営業を維持していくた めに、多くの事業者が撤退を余儀なくされた。しかし理由はそれだけ ではない。 2020年5月に、規制上の障害を理由にラスベガス・サンズが撤退 したことは、業界全体に衝撃を与えると同時に、その後待ち受けてい るものの前触れの役割を果たした。それ以降、ウィン・リゾーツとギ ャラクシーエンターテインメントグループ(LVS同様、初期は横浜を狙 っていた)も撤退し、横浜のIR開発レースに残ったのはゲンティン・シ ンガポールとメルコリゾーツのみとなった。もちろんそれは、8月に予 定されている市長選が横浜のIR計画を全て白紙に戻すという結果 にならないことを仮定してのことだが、決して安全な仮定ではない。 大阪では、6社の世界的大手IR事業者が観光見本市で展示を行っ てからちょうど2年後に事業者公募(RFP)を実施し、参加したのはそ の中でMGMリゾーツの1者のみだった。 和歌山の担当者は最近、県の事業者パートナーとしてクレアベス トの名前を挙げた。ただそれは別の候補者であったサンシティグル ープが間際で撤退した後の発表だった。 長崎は唯一、RFP終盤戦に候補者たちが真の戦いを繰り広げて いる自治体で、今年初めに5者が参加登録申請を行い、県が残り3者 にまで絞り込んでいる。 どこで全てが間違ったのか?ほとんどの場合に妥当なROI(投資 利益率)を妨げるように見える高額の開発コスト、大規模人口基盤か らは遠く離れた地方候補地の選定、大きすぎるように思えるMICEお よびホテルの要件、そしてゲーミングフロア面積の厳しい制限まで、 理由は際限なくあるようだ。確実に地元の観光を強化したい自治体 の責任である追加のインフラ開発でさえも今や、事業者の追加費用 として含まれるようになってきている。 日本のIRの野望が今後どう展開していくかは時間の経過ととも に明らかにはなるが、現実が夢と一致する可能性は益々低くなって いるように見える。 www.asgam.jp ベン・ブラシュク 編集長 あなたのフィードバックが必要です。 コメントは bb@asgam.comへ 送ってください。 社説
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