Inside Asian Gaming
2020 年11月 IAG JAPAN 9 社説 母性愛の限界を試す ベン・ブラシュク 編集長 あなたのフィードバックが必要です。 コメントは bb@asgam.comへ 送ってください。 中 国政府による最近の一連の宣言は、中国がマカオを世 界のギャンブル環境の中で「特例」として前向きに受け 入れる姿勢が限界に達したことを示しているようだ。 業界の一般通念、特に中国の小さな飛び地で営業す る企業にとっての常識というのは、中国が(他の形式の中でとりわけ) カジノギャンブルに強く反対する一方で、国民には近くのフィリピン、ベ トナムまたはカンボジアでするくらいならマカオでしてほしいと思って いるというものだ。少なくとも、そうであれば資金の大半が故郷の土地 に留まる。 しかし、最近の中国での違法賭博への取り締まりがマカオの最終利 益に打撃を与える可能性が高い、そして他のどの法域よりもそうであ ろうことは紛れもない事実である。 最も差し迫った懸念は、地下銀行システムを利用した本土からの 資金流出をターゲットにした最近開始された3年間のキャンペーンに 関係している。これはマカオのVIPジャンケット業界のまさに心臓部を 攻撃するキャンペーンだ。事業者がその焦点をより利益率の高いプレ ミアムマス部門にますます移行していくにつれて、ジャンケットの時代 はどちらにしても終わりが近いと多くの人が見ている一方で、VIPはな おも、マカオの財源に巨額の貢献をしている。例えば2019年、マカオの VIP部門は140億米ドルのゲーミング粗収益に貢献した。これは同じ期 間にラスベガスのカジノがもたらした全ゲーミング粗収益の倍近い数 字だ。 しかし、マカオにとってはVIP部門の他にも心配事があるのかもし れない。 8月、中国の文化観光部が、本土の中国人客をターゲットにしたカジ ノをオープンすることで、同国のアウトバウンド観光市場を混乱させて いるという越境観光地の「ブラックリスト」を作成したと発表した。 具体的な場所名は挙げられなかった一方で、同部は当時、新ブラッ クリストシステムによって、ブラックリストに含まれている海外都市や景 勝地にいく中国人には渡航制限が課せられると述べた。 10月まで話を進めると、中国は刑法を改正して中国人プレイヤーを ターゲットにする外国カジノに対して新しい罪を創設することを視野 に入れているとニュースが入ってきた。 この両方のニュースはマカオには無関係としてアナリストたちは大 部分をはねつけてきた、または長期的に見れば利益だと見なしてさえ いた。というのも証券会社のサンフォード C バーンスタインが言うよう に、「マカオが『海外』または『外国』という言葉に含まれていたことはな い。というのもマカオは中華人民共和国の一部であり、マカオには、そ の街の経済の大部分を支え、その政府の収益の大半を提供する合法 のカジノ市場がある」。 しかし、クレディ・スイスのアナリストによると、そのような考えは、中 国の地方政府がマカオでのギャンブルに照準を定めていることを明ら かに示しているような最近の証拠に大きく矛盾する可能性があるとい う。 彼らは、「取り締まりのルールは、『越境』が意味するものの明確な 定義を提示していないが、我々は、地方政府のレベルでは、ジャンケッ ト、カジノそしてシャドーバンキングなど、マカオが取り締まりのリスト に何度も名前が挙げられていることに注目している」と述べた。 結局のところ、中国がマカオの繁栄に害を与えることに大きなメリッ トがあると考える可能性は低いようである。過去20年間のマカオの繁 栄は、今もなお本土の「一国二制度」理論がどう機能するのか、とは言 われているものの、輝く光であり続けている。 だが、単にその財産でどれだけの信用を買えるかには限界もある だろう。
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