Inside Asian Gaming
2020 年 7月 IAG JAPAN 21 巻頭特集 カ ジノを閉鎖させ、旅行を事実上の停止に追い込 んだ新型コロナウイルスのパンデミックの中、あ る業界が大きな成長を見せている。それがオン ラインゲーミング業界だ。新型コロナウイルスの 有効な治療薬またはワクチンが無い状態で、通 常通りのビジネスに戻ることへの見通しが不確かである中、アジ アがゲーミング売上と税を回復させ、業界の雇用を守るための最 もシンプルな方法はオンラインゲーミングを拡大させることだ。ア ジア諸国の政府がその一歩を踏み出したいのであれば、ヨーロッ パとアメリカでは厳しく規制されたオンラインゲーミングが国内市 場で繁栄できるということを示している。 新型コロナウイルスが猛威を振るう中、世界中でオンラインゲ ーミングの売上が急増している(この記事ではオンラインゲーミン グを、ポーカーやその他のピアツーピアプレイなどのカジノゲーム と定義する。ただしスポーツくじは除く)。カジノがマカオ以外のほ ぼ全ての地域で営業を停止し、旅行が制限され、そしてメジャー なスポーツリーグが開催を中止する中で、3月中旬からカジノゲー ミングは事実上、今遊べる唯一のゲームになっている。ヨーロッパ のオンラインプレイは今年、予想額79億ユーロ(約9,500億円)から 2割も増加したと伝えられている。米ニュージャージー州でのオン ラインゲーミング収益は4月、118%増加し、8,000万米ドル(約86億 円)に達した。 オンラインゲーミングが上昇する一方で、ゲーミング全体は下 降している。カジノが閉鎖され、スポーツくじが益々低迷する中で、 ニュージャージー州の4月の合計ゲーミング粗収益は69%減、金 額にすると1億8,300万米ドル減の8,300万米ドルにまで落ち込ん だ。その他の法域も似たような数字になっている。 実店舗の回復の見通しは依然薄暗い。渡航制限が敷かれたま まになっているために、4月のマカオカジノのGGRは97%減、5月も たいして変わらない流れになっている。制限を解除したからと言っ て、自動的に、人々が特にバス、列車および飛行機などの交通機関 を利用して旅行を再開するということにはならないだろう。 魂の殺人 テーブル周辺やマシンの間にプラスチック製のしきりを設置す るなど、安全および社会的距離の確保のための提案によって収益 の急速な回復はほぼ見込めない。グローバル・マーケット・アドバ イザーズ(GMA)のパートナー、ジョン・イングリッシュ氏は、「カジノ から社会的な要素を取ったら、その魂を奪うことになる」と話す。 ゲーミングテーブルの席数は3席か4席に削減される可能性が
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