Inside Asian Gaming
2020 年 3月 IAG JAPAN 9 www.asgam.jp 社説 アジアのバイラルループ ベン・ブラシュク 編集長 あなたのフィードバックが必要です。 コメントは bb@asgam.comへ 送ってください。 ゲ ーミング業界には暇な瞬間などないというのは本 当だ。しかし、2020年の初めに、新型コロナウイルス (COVID-19)が我々が当然のことと考える全てに与え るであろう、巨大な影響を予測できた者は誰一人いな かったと言ってもいい。 Inside Asian Gamingの本拠地がマカオにあるために、我々は通常 は忙しく活気あるエンターテイメントの中心地が、ほぼ一夜にしてゴー ストタウンに変わるのを自分の目で見てきた。そしてマカオのカジノ事 業者にとってこの5週間がどうであったかというのは想像することしか できない。春節中のホテル客室が満室であることを大々的に宣伝して いたかと思えば、次の瞬間には、1年で最も重要な週に旅客数が80% も激減するのを目にしている。 その数字は、政府が新型コロナウィルス感染拡大を阻止するため にマカオの全カジノおよびゲーミング場を15日間営業停止にするとい う前例のない措置を講じたことで、2月には1日当たり3,000人以下に までさらに落ち込んだ。それに対して2019年の訪マカオ旅客数は1日 当たり平均10万8,000人であった。 少なくとも、それによって何十年間で初めてマカオ住民は閑散とし た通りを歩くという、近い将来にまた起こる可能性の低い(と願う)非現 実的な経験をする機会を得た。 確実にある程度のパニックによって突き動かされた、地球規模での この新型ウィルスへの対応のレベルに、幾分驚いていることは認めざ るを得ない。例えば、マスクは遠くではイギリスでも売り切れとなり、オ ーストラリアでは、学校が全生徒に自宅待機を指示したという報道も あった。新型ウィルスが世界の航空会社にどれほどの損害を与えてい るかについては考えたくもない。 この記事の執筆時点でウィルスの広がりについての報告がまちま ちで、一部の地域の各国政府が様々な制限を緩和し始めているが、そ の一方で強化している地域もある。フィリピンはすでに、「危険レベル」 の国々からの入国に対して実施していた渡航制限の一部を解除してお り、マカオのリーダーたちがカジノの15日間営業停止をあと数週間延 長しないことを選んだことはさらに大きな驚きだったと言わざるを得 ない。 そうは言うものの、COVID-19流行の影響は今後しばらく我々の業 界で感じられることになるのは確実だ。今後数カ月間に予定されてい た展示会の中にはすでに延期されたものもあれば、現在検討されて いるものもある。ICEロンドンで出会ったサプライヤーやメーカーは、 今後数週間の発送の大半がすでに保留にされていることを教えてくれ た。 そして、圧倒的大部分のプレイヤーが中国大陸から来ていることを 考えると、いつプレイヤーが戻ってくるのか、もしくは戻ることを許可さ れるのかは誰にも分からない。 これは、世界のゲーミングの情勢がいかに早く変化する可能性があ るかを証明している。
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