サイパンのカジノ事業者インペリアル・パシフィック・インターナショナル(北マリアナ諸島、CNMI、以下IPI)は、ジャンケットとの取引を事実上禁止された上、存続に奮闘する中でさらなる打撃を受けている。
マリアナ・バラエティ誌の報道によると、北マリアナ諸島のコモンウェルス・カジノ委員会(以下CCC)は、ジャンケット活動に関連したライセンスの発行や更新を禁止する命令を発表。これは、越境賭博をめぐる中国本土の脅威に対応するための決定だと言われている。
Inside Asian Gamingが報じたように、中国文化観光部は昨年8月、中国本土の顧客を対象としたカジノを開設することで中国のアウトバウンド市場を混乱させているとする海外観光地の「ブラックリスト」を作成し、ブラックリストに名を連ねた観光地に対して渡航制限を約束。
この約束は、ジャンケットを利用している管轄区域や事業者を対象としているようだが、CCCはこのような規制が、「ここでのカジノ賭博だけでなく、観光産業全般に非常に深刻な影響を与える」と述べている。
また、CNMIのラルフ・トーレス知事は、今月初めに「現在のジャンケットプログラムに対する懸念」を表明し、「当規制の規定を再検討し、ジャンケット事業者のライセンス容認を廃止し、ライセンスを持つカジノ事業者がカジノ内でのジャンケットを許可しないようにするべく、必要なセーフガードおよび罰則を制定すること」を求めた。
CCCはこれを受けて、「ジャンケットプログラムの包括的な見直しが必要であり、これが行われ、知事の懸念に対応した新たな規制が発表されるまでは、現行プログラムのライセンスは更新されるべきではなく、新たなライセンスも発行されるべきではないと判断した」とコメント。
IPIは2017年に、前年のVIPテーブル16台で324億米ドル(約3兆5,000億円)のVIPローリングチップ量を報告し、世界中の注目の的となった。これは、ザ・ベネチアン・マカオのVIPテーブル100台で289億米ドル(約3兆1,300億円)のローリングが発生していたことを考えると、驚異的な字である。
しかし、同社はその後、債権回収に大きな問題が生じ、昨年末時点で90億5,000万香港ドル(約1,260億円)の売上債権を抱えている。同社がサイパンに保有するカジノ、インペリアル・パレス・サイパンは、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年3月から閉鎖中である。
今回のジャンケットの打撃は、同社が先週金曜日に、ライセンス契約に基づく特定の要件を遵守していないために、カジノライセンスが停止されたと告げられた後の出来事。同社は6ヶ月以内に2,500万米ドル(約27億円)以上の手数料と罰金を支払わなければ、ライセンスを取り消される恐れがある。