北海道は2月、IRの将来的な誘致に向けた関連事業費について、新年度一般会計予算案への計上を見送る方針を決めた。当初は誘致継続を表明している鈴木直道知事の姿勢を明確にし、推進を求める苫小牧市や経済界に配慮する意味合いもあり、予算に盛り込む方向で検討していたが、現職国会議員らの汚職事件に伴ってIRに対する世論の批判が高まり、一部道議らが予算計上に反発していることを考慮した。
道内で IR誘致を目指していた自治体は道の判断や汚職事件を受け、今までの方針を再考せざるを得ない状況となった。中でも誘致に積極的であった留寿都(るすつ)村では、村内でホテルやスキー場を運営する「加森観光」(札幌市)が中国企業「500.com」と IR事業を計画。事件では加森観光会長の加森公人被告も贈賄罪で在宅起訴されたことでイメージが悪化し、誘致継続は困難と判断した。
誘致の優先候補地であった苫小牧市の担当者はIAGの取材に対し、「現在開催されている市議会で予算の決定とIRに関わる質問もなされるが、今のところ岩倉博文市長のコメントを出す予定は無い」話した。また、「今後も予算を組みIR誘致を目指していくのか」という質問に対しては「MAプラットフォーム(東京・港区)による大規模リゾート開発の計画もあり、市が推し進めている国際リゾート構想推進事業は継続していくつもり」「少子高齢化に直面している今、どのような町づくりをしていくかを考えている」と答えた。岩倉市長は現在4期目。選挙公約でIR誘致を打ち上げ再選し、地元経済界が主体の「IR推進協議会」と共にIR誘致へ向けて突き進んできただけに、その無念さは想像に難くない。